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Sampleレヴュー (Hatria Collection)

 

■Nox (2015年)

ダンスの到達点というイメージのようですが、なんと香りの軸はヒノキとソルト、塩なのです。タイトルはラテン語で夜のこと。

トップ:ベルガモット、スズラン、シクラメン、イランイラン、アカシア
ミドル:ソルト、ピンクペッパー、アルテミジア、ヒノキ
ベース:シダーウッド、パチョリ、バニラ、ホワイトムスク

結構ユニークなコンビネーションだと思います。トップではヒノキがマリンノートと香り驚かされますが、このマリンノートがそこまで持続をせずパッと散って消えていくのです。その後ろから現れるのはヒノキのウッディ部分で、マリンの残り香と共にウッディノートへと変化して落ち着いていきます。スズラン、シクラメンといったどちらかというと涼しげで透明感のあるフローラルノートを使用し、あまり強くはないフローラル感でまとめているのですが、ヒノキをヒノキらしく感じられる、楽しめる海外の香水というのはあまり見かけませんので、とても意外な香りでした。マリン系のソルトノートもグイグイと主張しないあたり好感が持てます。

夜というのは、暗く歪んだイメージがありますが、心地良いくらいの夜風をこうしてマリンで表現していくのもありだなぁ、と感じさせてくれました。(22/07/2015)


■Aer (2015年)

夕暮れにかかる霧をイメージした香りのようで、タイトルはラテン語で空気を意味しています。Airですね。

トップ:レモン、ミント、イエローグレープフルーツ
ミドル:ジュニパーベリー
ベース:エレミ、ベチバー、パチョリ

あれ? これはひょっとして精油だけで作れるのでは? と思える調香ですよね。香りも精油感が強く、ジュニパーが生き生きと、でもフレッシュで明るい感じではなくゆっくりと香っています。ベースにあるエレミはトップですでに存在感を示しますが、トップで弾けてミドルへつながる香料ですのでベースにあることの方が珍しいです。トップの印象だとシトラスノートやミントが爽快に香りそうなイメージではありますが、配合自体は控えめで、ジュニパーにきちんと重点を置いた配分になっています。そして時間と共にベチバーやパチョリの少ししっとりとしたウッディノートへと次第に引き継がれ、薄れていきます。精油がお好きな方、アロマセラピーをされている方にはとても使いやすい香りなのではないでしょうか。お馴染みの香りでもこういうバランスがあるのか、と勉強になる香りなのかもしれませんよ。(22/07/2015)


■Liquo (2015年)

秘伝のオイル・・・ということで香りの軸は干し草とリコリス。

トップ:ラバンジン、ヴァイオレット、レモン
ミドル:アニス、リコリス、ストロー、クマリン
ベース:フランキンセンス、ベチバー、トンカビーン

香った瞬間、バジルとラベンダーに干し草と黒糖のような香りがあふれ出てきました。確かにいろいろなミックスながら干し草とリコリスというのがぴったりで、全体を通してアニス調の甘さがクマリンと共に香っているのです。系統で言うならばニガヨモギやフェンネルも同系統なのですが、甘苦さがあるのが特徴で、アロマティックなオリエンタルへと繋げているのです。真っ黒なんリコリスキャンディーは好き嫌いが分かれるところですが、イタリア人にとっては比較的馴染のあるものだと思います。オークやイモーテルアブソリュートもカラメルハニーっぽい甘苦さを有していますが、こちらは干し草っぽい柔らかさを合わせていますので、女性でも使えそうな雰囲気にまとめられています。(21/07/2015)


■Rosarium (2015年)

教会の壁龕の花というのがサブタイトルで、バラ園のロザリウムではなく、ロザリオの語源となったラテン語の方の意味です。だから香りもローズではなく教会の雰囲気に。

トップ:ハニー、タバコフラワー、キャロットシード
ミドル:ジュニパーベリー、アイリスウッド、ヴァイオレット、セロリシード
ベース:ムスク、バニラ、シダーウッド、ベチバー、フランキンセンス

フランキンセンスとアイリスを軸に、キャロットシードとウッディノートをアクセントとした香りです。トップでは一瞬アロマティックなニュアンスがありますが、すぐに土っぽいキャロットシードがアイリスと共に現れ、柔らかなパウダリーノートとなって香ります。華やかなフローラル感は全くなく、ヴァイオレットもバニラもハニーも控えめ。ミドル以降、時間が経つにつれてアイリスよりもフランキンセンスが強く前に出てくるようになり、ムスクと共に柔らかな残り香を形成していきます。軸も明確でバランスも良く、テーマにも沿っていて使っていて安心できる香りです。(17/07/2015)


■Kanat (2015年)

カナール、つまり運河のこと。アトリの町自体にはないようですが、潮風の香りを組み込んだようです。海辺の町にも運河は見当たらないのですが、サブタイトルが古代のタンクとなっていますから、何かしらそういう遺跡のようなものがあるのかもしれません。

トップ:ベルガモット、ピーチ、アプリコット、ブラックカラント、サフラン
ミドル:ソルトノート、マグノリア、スズラン、シクラメン、イランイラン、アカシア
ベース:ムスク、バニラ、パチョリ

香りは実にユニークなマリンノートで、マリンなのにマリンではなく、やはりソルトなのです。塩っぽいマリンノートがサフランや穏やかなフローラルノートと共に香るのです。ソルトノートが爽やかすぎず、きちん香っているものの、テイストとしてはフレッシュではないのです。近年、こうした少し意外性のある組み合わせを試すブランドが増えてきているようにも感じるのですが、ベースのほの甘さやフローラルノートが派手さを感じる明るいものではないため、とても静かにゆっくりと香り続けている印象なのです。マリンノートは苦手という方も、これならば大丈夫なのかもしれませんよ。いえ、無理に使う必要はないのですが。(16/07/2015)


■Ducalis (2015年)

古い小道を歩いていて香る、アドリア海の香り。タイトルは侯爵、指導者のような意味合いと、スズメバチという意味があるます。果たしてどっち?

トップ:ナツメグ、ゼラニウム、ソルティーノート
ミドル:ローズ、スズラン、シクラメン、イランイラン、アカシア、シダーウッド
ベース:サンダルウッド、ローズウッド、レザーノート、アンバー、ムスク、バニラ

マリンノートというよりもソルトと言いたくなるような潮風の雰囲気を感じるフレッシュさを組み込んだウッディノートが軸となっています。ソルトノートは強すぎることはありませんので、カテゴリ的にマリンと付けるほどではないのですが、トップで少しアクセントとして香った後、香りはローズへと受け継がれて変化していきます。香りの軸は(おそらくティンベロールという)アンバーウッディノートで、レザーっぽいアンバーウッディノートが鉱物っぽい香り方をしているのですが、バニラの甘さは強くはありません。また、様々なフローラルノートも印象的というほど強くは香らず、フローラル感も強くはないのです。アンバーローズという香調は良くありますが、そこをアンバーウッディローズにしたらこうした雰囲気になりそうですね。レザーノートの中には少なからずイソブチルキノリンが使われていますが、タール系のスモーキーな香りはしていませんので、メンズっぽく感じる香りではなくユニセックスさを感じるものとなっています。(15/07/2015)


■Hatria (2015年)

その昔、アトリの町は無声音のHが付いてHatriaと表記されていました。だから、彼らの香水はHatria collectionと名づけられています。こちらは大聖堂に入る時の神聖にイメージで作られたローズの香り。

トップ:サフラン、クローヴ、ダヴァナ、ジャスミン
ミドル:ローズ、カラメル、ガジュンバルサム、ウード
ベース:パチョリ、サンダルウッド、シプリオール、ガイヤックウッド、ラブダナム、ムスク

テーマを裏切らないローズの香りが軸となったフロリエンタルです。聖堂と言えばフランキンセンスやミルラなど教会に関与した香りを使うのが一般的ですが、こちらはそういった樹脂系の香りの中でも少しダークなエッセンスを使用しているのが特徴です。でも、それらが全面に出てくるというほどダークなフロリエンタルなのではなく、少し柔らかさとフルーティーなニュアンスのあるローズウードの変型版とでも言うような香り。カラメルも香ばしさを感じるほど強くはなく、スモーキーさも控えめで、逆にスイートノートの方を感じるほど。パワフルでグイグイと前に出てくる香りではなく、静かに持続していきますので、使いやすくて上品な香り方だと思います。(14/07/2015)

 

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