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Sampleレヴュー

■Fara (2018年)

一番暑い時間帯を意味するシチリア語をタイトルとした香り。夏はスパークリングウォーターにレモンを絞り、ミントを浮かべ、少しの塩とシロップを入れて飲むそう。シチリアでは至る所で飲めるサマードリンクで、塩が入ることで熱中症対策にもなるわけです。とにかくイタリアのレモンはジューシーが果汁が多く、日本で買うものとは比べ物になりません。

 

 

トップ:レモン、ベルガモット、フィンガーライム、ミント
ミドル:マグノリア、ソルト、アクアノート、クミン
ベース:シダーウッド、フランキンセンス、ムスク、アンバー

プレヴューで香った時から感じたことだったのですが、シトラスカクテルをイメージしたフレグランスならばモヒートを始めたくさんありますが、ありきたりなシトラスミント、シトラスフレッシュにまとめなかったところが、ニッチなフレグランスを愛し、販売しているアントニオの調香です。確かにトップではジューシーなシトラスが弾けますが、同時にウッディノートとクミンの欠片が飛び出して香るのです。アクアノートはわからないほどのアクセントに留め、ムスクやクマリンなどで柔らかなベースへと導いています。シトラス自体の持続はもちろん長くはないのですが、グリーンなピール香がニュアンスを伸ばそうとしていることが感じ取れます。シチリア島の一番暑い時間帯に、カフェのパラソルの下で飲むシトラスジュース、それを浴びるように使いたい。シチリアらしさを楽しめる、ヴァカンスの香り。残り香もとても素敵ですよ。(26/09/2018)


■Eperdumen (2016年)

20世紀初頭のシチリアでは、貧しい国から連れてこられた若い女性との見合い結婚が多かったそう。旦那さんの亡き後、祖国に戻って家族と再会した女性の香りのフラッシュバックというのがテーマとなりました。イメージ画像は、旅行鞄に詰められたウエディングドレスに。

 

 

トップ:グリーンシトラスノート、フェンネル、マリンノート、オゾンノート
ミドル:オレンジブロッサム、ジャスミン、ハニーサックル、スズラン
ベース:ソフトウッド、ムスク、アンバー

マリンノートとオゾンノートがどれほど主張するのかがこの香りのポイントなのですが、ほとんど感じられないほどのアクセントです。彼自身あまりそれらが得意ではなく、強くは使いたくないと言っていたのが印象的でした。香りの軸はオレンジブロッサムとジャスミンで、それらを彩るように鮮やかなシトラスノート、ホワイトフローラルが配置されている感じです。とても明るくて爽快、でもムスクが効いていて柔らかなニュアンスも感じられるというものに。シチリアに嫁いできた花嫁たちがどこから来たのか定かではありませんが、目と鼻の先にあるチュニジアのボン岬はネロリの産地であり、ジャスミンも有名な国。そうした近隣諸国のイメージを取り入れつつ、少しグリーンの効いたユニークなシトラスフローラルとなりました。(18/10/2016)


■Nuit Rouge (2014年)

凍える夜を照らすシルバームーン。暗闇にそびえたつエトナ火山。・・・ということで、常に噴火を続けるシチリアの活火山と月をイメージした香りです。火山だからルージュなのでしょうか。

トップ:ベルガモット、レモン、ブラックカラント、グレープフルーツ、ルバーブ
ミドル:ゼラニウム、アイリス、サフラン、ブラックペッパー、ナツメグ、コーヒー
ベース:レザー、シダーウッド、パチョリ、サンダルウッド、フランキンセンス、バニラ、トンカビーン、ムスク

フルーティーなグリーンというのはブラックカラントに代表される香りなのですが、使用を間違えると違和感を感じるものになってしまいます。こちらはブラックカラントに少しフルーティーなグリーンノート(ルバーブ)を加えることで、フルーティーさの中のグリーンを一瞬際立たせてスタートします。ブラックカラントのフルーティーさはすぐに落ち着き、ルバーブのグリーンが柔らかな甘さに溶けていくのですが、赤のイメージはあまり感じられません。温かみのある黒、暗闇という印象のミドルノートですね。そこから次第に甘さが際立ち始め、スイートオリエンタル系の香りとなって消えていきます。(24/10/2014)


■Noir Obscur (2014年)

ObscurはDarkの意味ですから、タイトルは真っ黒な暗闇ということに。月で真っ黒・・・そう、テーマは新月です。新月には不思議な力が働く、と。

トップ:オレンジ、タンジェリン、ダヴァナ、ラムアブソリュート、スパイス
ミドル:ブルガリアンローズ、ジャスミン、アイリス、オスマンサス
ベース:レザー、パチョリ、ベチバー、シダーウッド、フランキンセンス、アンバー、ムスク

スパイスとリキュールっぽい香りがトップでパッと弾け、香りはすぐにスパイシーでドライなアンバーウッディへと変化していきます。パウダリーノートもありますし、フローラルノートもありますが、1つ1つは際立たずに溶け合っているような香り方で、レザーとアンバーグリスっぽい香料が特徴を出しています。少しアニマリックさを感じるカストリウム系のレザーノートを使用しているようで、最終的にはとてもセクシーなレザーウッディとなって肌に残ります。(24/10/2014)


■Nacre Blanche (2014年)

パールホワイトの月明かりが部屋に射し込み、鏡に反射して若い女性のアラバスターのような肌を照らす。そんなイメージをチュベローズで表現したもの。

トップ:ベルガモット、グレープフルーツ、タンジェリン、ぺティグレン、コリアンダー
ミドル:チュベローズ、ジャスミン、イランイラン、オスマンサス
ベース:ベンゾイン、バニラ、ソフトレザー、パチョリ、サンダルウッド、ムスク

ひょっとしてチュベローズアブソリュートが・・・? と期待をしたのですが、香りはそこまでチュベローズのシングルフローラルではなく、チュベローズを使用したフローラルブーケとなっています。フロリエンタルなチュベローズでトップからしっかりオリエンタルノートが香っており、樹脂というよりもバニラの甘さに少しハニーノートが加わったようなセクシー系フローラルとしてまとめられています。トップのシトラスノートが薄れた頃からはきちんとチュベローズのそれらしさを楽しむことが出来る香りへと変化していくのですが、どてしてもオリエンタル寄りの香りのためにホワイトというイメージではありません。ミドル以降、チュベローズのそれらしさがスーッと薄れ始めた頃からスエード調の柔らかなレザーノートがバニラの中に感じられるようになるのですが、こうした組み合わせというか、香りのテイスト、まとめ方がニッチなフレグランス愛好者ならでは、というところ。フェミニンなチュベローズを最後はとてもクールにまとめています。(23/10/2014)

 

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