満月の夜に咲く白きジャスミンの花を瞬時に閉じ込めた香り。Esxenceで一嗅ぎ惚れしたのがこの香りでした。何故ならば、思わず笑みがこぼれるほど純粋で美しいジャスミンアブソリュートがムエットから溢れていたからです。正真正銘の本物のジャスミンアブソリュートの良さをたっぷりと感じさせてくれつつも決して重くなく、ワイルド過ぎず美しく香り、まるで生花そのものを抱えているかのようです。アブソリュートだけでは生花になりません。アブソリュートを使用して生花らしくまとめる・・・それこそが調香師の手腕なのです。香水ではよくピーチ系の甘さを使用して蜜っぽい甘さのラストノートを作り出しますが、こちらはバニラとベンゾインを使用しており、ミドル以降肌に残る香りは春先に咲くハゴロモジャスミンのようで柔らかく美しく広がります。

ムスクがないため、全体的に軽やかですが、持続はきちんとしてくれます。ベンゾインもバニラも主張することなく陰に隠れており、主役であるジャスミンアブソリュートを邪魔することはありません。肌に薄っすらと残る柔らかなジャスミンの残り香は日本人好みだと思います。

(12/04/2012)