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Sampleレヴュー

■Palo Santo (2015年)

南米で儀式に使用されるフランキンセンスとサンダルウッドを足したようなパロサントをテーマとした香り。でも、パロサントの精油は使用していないんですね・・・。調香はShyamala Maisondieuが担当です。

 

 

トップ:ダヴァナ、ラム
ミドル:ミルク、ガイヤックウッド、トンカビーン
ベース:シダーウッド、ベチバー、アミリスウッド

近年ではTDC等もこのパロサントを題材として新作をリリースしていますが、近年知友目を浴びるようになってきた南米の香りです。パロサントの精油を想像すると全く違った香りで、グルマン系に近い練乳ウッディが香ります。かなりこってりと甘くミルキーで、ウッディノートがアクセントとして隠れています。以前、フランキンセンスが日本では乳香と呼ばれることから、ミルキーなフランキンセンスの香りをオリジナルとして作ったことがありましたが、それより遥かに練乳に比重があり、パロサントらしさを期待するとびっくりされるはず。(04/07/2017)


■Rima XI (2014年)

19世紀のスペインの詩人、Gustavo Adolfo Becquer(グスタボ・アドルフォ・ベッケル)の詩をテーマとした香り。スペインでは一番メジャーな詩人で、Sonia Constantが調香を担当。

 

 

トップ:カルダモン、ブラックペッパー、ミント、サフラン
ミドル:シナモン、ナツメグ、サンバックジャスミン、コリアンダー
ベース:シダーウッド、サンダルウッド、バニラ、ベンゾイン、ソフトアンバー、ムスク

こ、これはどうしてそのような香りになるのか不思議なのですが、サンバックジャスミンにシナモンとバニラムスクが重なったからなのか、タイのスティッキーライスに感じられるのです。いろいろと賞を獲った香りなのですが、それはこの特徴のある香りがウケたのでしょうか。タイ料理を良く食べている方には、あれあれ、あのジャスミンライスのあれ、と想像がしやすいはずです。しかし、香りはゆっくりと変化し、ジャスミンがアクセントとなったシナモンクッキー風のアンバームスクとなって消えていきます。とてもユニークなオリエンタルですよ。(04/07/2017)


■D600 (2010年)

バルセロナLas Ramblas通りのLa Boqueriaというマーケットの朝の風景を表現した香り。窓を開けた時、部屋に入ってくる空気は、市場のスパイス、熟れたフルーツなどの香りであり、それらが街の香りに溶け込んでいく。古き良き文化と新しいものが溶け合う、地中海文化と都会が溶け合う、というイメージ。調香はChristophe Raynaudが担当です。

 

 

トップ:ブラックペッパー、ベルガモット、グレープフルーツ
ミドル:カルダモン、アイリス、ジャスミン
ベース:シダーウッド、バニラ、

市場というイメージがあったため、かなりドライな香りを想像していたのですが、かなり甘さの強い香りです。スパイスは甘さに負けてしまうため(ココナッツカレーの辛味のように)、それとわからないくらいにしか香らず、クリーミーな甘さの中になんとなくあるアロマティックとしてその影を潜めています。甘さはバニラだけでなく、ココナッツ、トンカビーンなどを感じさせるもので、アイリスが全体のトーンをムスクっぽくまとめています。グルマン系ギリギリのラインなのですが、スズラン系のフローラルノートを使用したことでオリエンタルになり過ぎない、ベタベタした重さのない甘さとなっています。でも、これはクマリン(ココナッツ)バニラが軸。(04/07/2017)


■Costarela (2016年)

目の前に広がる地中海をイメージした香り。調香はShyamala Maisondieuが担当です。

 

 

トップ:ベルガモット、サフラン
ミドル:マリンアコード、サンドアコード
ベース:シダーウッド、アンブロキサン、アンバー

マリンノートにサンドノートでしょう? と試すのも躊躇われるほどオーソドックスなマリンに思えたのですが、最近はマリンノートの使い方も変わってきて、あからさまに使用しないものが増えてきました。こちらもマリンノートに頼らないマリンなのです。トップから広がったのは良質なシトラスノートで、シトラスノートの中に明るいフレッシュノートがたっぷりと含まれ、軽やかに広がります。サフランもレザー感を感じるほどではなく、少し穏やかなアクセントを添える程度のもの。それらがシトラスの残り香と共にゆっくりと変化していくのですが、香りの軸はフレッシュノートにあり、ベースではありません。そのため、オリエンタルになって終わるものではなく、最後まで明るく消えていきます。マリンではないけれど、マリンで使いたいと思うようなユニセックスな香りとなっています。(08/02/2017)


■El Born (2014年)

バルセロナの近隣を意味するタイトルのようで、バルセロナらしさを表現したのだとか。だから、今回は画像ではなく、動画でテーマを表現しています。

 

 

 

トップ:シチリアンレモン、カラブリアンベルガモット、アンジェリカ、ハニー
ミドル:フィグ、ヘリオトロープ、ラオスベンゾイン、エジプシャンジャスミン
ベース:バニラアブソリュート、ペルーバルサム、オーストラリアンサンダルウッド、ムスク

本当に? と疑ってしまうほどの香りでスタートしました。バルセロナの街のイメージはとにかく石畳とふるい街並みで、あまりカラフルな印象ではありませんでした。世間一般のバルセロナのイメージというものがどういったものなのかがわからないのですが、この香りはマジパンのようなカラメルシュガーハニーで始まるのです。街中にマジパン工場でもあるの? と不思議に思っていると香りは次第にスイートウッディムスクへと変化して肌に馴染んでいきます。香ばしいナッツ香はありませんし、焼き菓子のようなカラメル香がしていたりしますので、マジパンそのものではないのですが、よくよく考えてみたらマジパンはバルセロナではないにしてもスペインの地方の伝統菓子でもあります。グルマン系というほど徹底はしていませんが、系統的にはグルマンと思って間違いないオリエンタルグルマンな香り。バルセロナを、地元の人たちはこういう香りのイメージで捉えているのだということが意外でびっくりでした。(29/12/2014)


■Tardes (2010年)

夕方から夜にかけての意味を持つタイトル。スペイン語のBuenas tardesはGood afternoonに相当します。イメージは夏の日の夕暮れ、みたいな感じでしょうか。画像はモノトーンですが、安らぎとハーモニーを感じさせてくれる幸せな時間ということで、アーモンドの木々の隙間から漏れ来る夕陽、ゼラニウムとワイルドローズが広がる田舎の丘の風景。
調香はPradaを多く手がけているDaniela andrierが担当。

 

 

トップ:エジプシャンゼラニウム、ブルガリアンローズ、ローズウッド、アーモンド
ミドル:ヴァージニアシダーウッド、セロリ、プラム
ベース:ヴェネズエラトンカビーン、ムスク、ヘリオトロープ

夏らしくないとても甘い香りです。たっぷりのスイートアーモンドに包まれたゼラニウムという印象で、夏の夜という印象は全くありません。夏のイメージは南国リゾートのトロピカルフルーツだったり、マリンノートだったり、カクテルやコロンだったりしますが、風景によってはこういう香りも夏のイメージになり得るのだというのが不思議な感じですが、いくらアーモンドの木々があったからと言ってアーモンドは香っていないでしょうから、やはりイメージしづらいのは確か。ゼラニウムもローズも強くはなく、相性の良いアーモンドとトンカビーンにヘリオトロープを重ね、少しグルマンに近い甘さの香りとしてまとめられています。シダーウッドらしさはあまり感じられないのですが、ウッディノートがあることは確かで、甘さに深みを感じます。(14/02/2013)


■Cuirs (2011年)

3つ目の香りは2000年代半ばからファッションフレグランスを手がけるようになった若手の女性調香師Sonia Constantが担当。香りのテーマはレザーで、スペインの皮職人のアトリエをイメージしているようです。

 

 

トップ:クミン、サフラン
ミドル:ヴァイオレット、オーストラリアンサンダルウッド、テキサスシダーウッド、パラグアイガイヤックウッド、インドネシアンパチョリパチョリ
ベース:ベネズエラトンカビーン、シスタスアブソリュート、ムスク、ウード、インディアンナガルモタ、ドミニカンアミリスウッド、ドライアンバー、レザーアコード

どっしりとしたウッディノートを想像する調香ですが、物凄く軽やかで消え入りそうなウッディレザーです。調香だけを見ていると拍子抜けするというか、肩透かしをくらったようなアンバーウッディの香りで、レザーらしさも感じられず、精油のウッディノートもほとんど感じられず、皮職人の作業場のイメージが全く伝わってきません。液体が透明なのですが、それも少し不自然です。今はいろいろな香料がカラーレスで発売されていますが、それは液体に着色をするため。でも、こちらの商品は無着色で透明なんですよね。ダークカラーの方が精油感が感じられるだろうに・・・。ということで、ほとんど精油感のない軽いアンバーウッディだとお考え下さい。(それでも軽いアンバーウッディノートは持続をします)
これくらいつけてもつけても広く香らないくらいの方が、ビギナーの皆さまには使いやすそうなのですが、濃厚な香りに慣れている皆さまには少し物足りなさを感じてしまうかもしれませんね。(14/02/2013)

 

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