2009年に発売された6つ目の香りは「ドージェ(ヴェネツィアの統治者)のバルサム」という意味。ヴェネツィアはスパイス貿易で栄えた街です。タイトルは今までと違いフランス語になっているのでドージェではなく全てフランス語読みの発音に近い表記としました。この香りはそのヴェネツィアの統治者の歴史の中の人物にインスパイアされて作り出された香り。

スパイスと樹脂がメインの香りで、トップからまさにミルラとフランキンセンスが香ります。フランキンセンスのすーっとしたクリアな香りではなくて、バニラとベンゾインの甘さが加わったアンバー系フランキンセンス風の香りです。でもアンバーではないんですよ。スパイスとシトラスの香り具合も強くはないけれどしっかりと存在していて、テーマである樹脂香を補佐しています、フランキンセンスに加わっている甘さの中でもバニラとクローヴが強いのか、フェンネルとサフランっぽさはあまり良く分かりませんね。ギャルソンのインセンスシリーズよりも甘さがあってもう少しユニセックス寄りの香りになっていきます。ギャルソンのシリーズの方がどちらかと言えば男性的かなぁ。甘さが後を引かずに意外と軽やかに薄れていくので使い安い香りだと思います。このブランドの中では僕はかなり好きな香りですので、いつか機を見てボトルを購入してしまうと思います。(07/09/2009)

※こちらの香りはSampleレヴューの後にフルボトルの購入となったのですが、やはり他の香りと同様にボトルでは全くイメージが変わりました。Bois d'OmbrieもSienne l'HiverもPaestum Roseも全てサンプルと香りが違うということは、よっぽどロットによって香りが変わってしまっているのでしょう。以前の印象よりも今回購入した製品はフローラルが強く、フローラルノートはないのにチャンパカフラワーが中心にいるような香り方をしているのです。生花のチャンパカフラワーにフランキンセンスを足した感じの香りで、驚くほど瑞々しいトップノートで始まりました。ミドル以降はきちんとフランキンセンスがウッディと共に現れるのですが、チャンパカフラワーっぽいフローラルノートがあるおかげでギャルソンのインセンスシリーズよりもずっとレディース寄りのユニセックスになっています。柔らかなフローラル系のフェミニンなフランキンセンスで、天然香料のナグチャンパのラストノートに似ています。

1年で1番聖なる香り「フランキンセンス」が似合う季節、それが間もなくやってきます。来週のクリスマスに向けて、こちらの香りを試されたいという方のために、他の香りと共に5名様に小分けをプレゼント♪(適当な時間で締め切り、当選は発送を以って代えさせていただきます。) →締め切りました。たくさんのご応募、ありがとうございました!

(18/12/2009)

あれ? 記憶の中ではそれほどフローラルではなかったかも・・・と、上記を読み返しての再レヴューです。肌に乗せてみたところ、あぁ、なるほど。チャンパカのような少しフルーティーで甘いトーンがフランキンセンスと共に広がりました。確かにチャンパカというよりもナグチャンパの香料に近い香りで、ひょっとしたらお香のナグチャンパもこうした香りなのかも・・・と思わせてくれました。

彼の調香はスパイスが多用されていますが、この香りの中のスパイスはとても控えめでスパイシーに感じられるほどではなく、スパイスの中のリナロールが少しフローラルやアロマティックに香っているようです。カルダモンのそれらしさも感じられません。あるのは、少し焦げたような香ばしい香りで、それはおそらくミルラの中に成分によるもの。それがフランキンセンスのアクセントとなっているのです。

バニラの甘さは強くはないものの、ハニーの甘さはないことと、ベンゾインの中もバニリンがあるため、ベースはドライではなくオリエンタルとしてまとめられおり、最後はフランキンセンスの残り香にミルラがしっかりと重なって終わります。やはり相応しいシーズンは12月なのですね。

(08/12/2023)