とっても強いアルコールの香りが一番先に飛び込んできます。コニャックですよ、コニャック。酒のビンを開けた時に香る独特な香りがそのまま再現されていてちょっとびっくりです。そこから蜜の甘さ、インセンス･･･そしてウッディとカラフルな香りが出てきます。少しレーズン調二も感じられます。ここまではプッシュをした瞬間から数秒の出来事です。そこから基本はアイリスのパウダリーさにウッディが重なり、パウダリーで新鮮なおが屑系というか、新鮮なウッディノートに少しミルラや蜜蝋を入れてフランキンセンス系でまとめた印象です。ラストノートはもっともっとウッディが強く出てきて、オリエンタルなウッディとなっていきます。全体としてとても温かみのあるウッディノートで、ドライですがしなやかというか、深呼吸したくなるような静けさの中に広がるオリエンタルウッディです。ベチバーとはまた違ったウッディなのですが、同様に温かなニットに合わせたくなるような香りです。

EDTながら香りの持続は抜群で、おが屑のような香りが6時間以上持続します。Sienne l'Hiverと同じく以前試していたサンプルと香りのイメージが違います。ロットによって随分変化してしまっている様子で、香りが安定していないのかもしれません。サンプルよりもずっとずっとウッディが強く、少し深みのあるミルラっぽい樹脂香はほとんど感じられません。

(10/11/2008)

このボトルから2度のボトルチェンジを経て、廃番となった香りの1つです。Bertrand Duchaufourの調香の中では、比較的シンプルではあるものの、随所に彼らしいテイストが隠されています。まず、トップで弾けるコニャック。それがおが屑香とキャロットシードの土臭いニュアンスを伴って弾けるのです。一瞬びっくりしてしまうほど土っぽい爆弾ですが、それが弾けてしまった後は、タバコやハニー、レザーなどがセクシーに残るのですが、パウダリーウッディの余韻が残り、秋が深まり、落ち葉が積もった暗い森の中をイメージさせる香りとなって落ち着きます。

シンプルに見えるけれど、結構なコンプレックス(複雑)系の調香で、ニッチなフレグランスがお好きな方には受け入れられたものの、近年の明るくフレッシュなラインからは少し個性的過ぎて売れ筋ではなかったのでしょう。キャロットシードの爆弾は、彼はPenhaligon'sのVaaraでも使用していますが、こちらの方がより森の奥深くで、ウッディノートが少しオリエンタルに変化して終わります。

(06/12/2023)