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Sampleレヴュー

■Boronia (2017年)

5つ目の香りもBertrand Duchaufour氏が担当となりました。ボロニアというのは、オーストリア原産の小さな灌木で、ピンクや赤などの小さな花を咲かせます。香りはシトラスフローラルのすっきりとしたもので、希少ながら精油も存在しています。

 

 

コニャック、ブラックティー、レジン、タバコ、スエード、カラメル、ドライウッド

今までの4つの香りは、とにかくフローリストらしく生花そのもののテイストを重視して「再現」されてきたのですが、最新作となったボロニアはそうではありませんでした。ボトルリニューアルを機に生まれた香りは、生花の再現ではなく、印象としては画像ののようなブラウンの花をイメージして作られたような印象です。樹脂の甘さにカラメル、タバコ、干し草などの香りがベースにあり、フローラル感はあまり感じられないのです。フローリストとしての花の香りづくりから一転、大きな変化となった香りで、オリエンタルなBertrand Duchaufour氏らしい、真骨頂の香りとなっています。Saskiaさんがテーマとしたのは、この画像のような茶色のボロニアだったんですね。春の訪れを告げる、彼女にはとても印象深い花だそうで、この花色だったらこうしたオリエンタルになったのが自然なことなのかも・・・と思いました。ブラウンボロニア(Boronia megastigma)と呼ばれているそうです。(21/09/2017)


■Queen of the Night (2016年)

4つ目の香りはBertrand Duchaufourが担当となりました。タイトルは夜の女王、つまり月下美人です。

 

 

シトラスノート、ベリー、クローヴ、オレンジブロッサム、サンバックジャスミン、イランイラン、チュベローズ、ガーデニア、トベラ、ウィステリア、ミモザ、バニラ、ムスク

生花らしさを打ち出しているブランドに対し、スパイスと複雑な調香を得意とする彼ではいかに? と思ったのですが、さすが。とても生花っぽいフローラルブーケを打ち出してきました。最初は少しシトラスフローラルにクリーミーなニュアンスが感じられるものでスタートするのですが、ウィステリアが少し生々しいフローラル感を出しており、生花ってこういう部分あるよね、とわくわくさせてくれるのです。月下美人の花の香り自体はもう少しアクアティックなニュアンスがあったような気がするのですが、とても瑞々しくて美しいヴェールのようなフローラルとなっていますよ。花を生かすためにトップもベースも控えめなのが徹していてステキです。(30/08/2016)


■Madagascan Jasmine (2015年)

マグノリアの次はブライダルブーケに良く使用されるマダガスカルジャスミンがテーマに。調香はMichel Roudnitskaが担当です。

 

 

マダガスカルジャスミン、シトラスノート、グリーンノート、ステファノシス

Stephanotis Floribundaという学名のマダガスカルジャスミンはジャスミン調の香りだというだけで、全く違う植物でありながらその名を付けられた植物です。ですから、ジャスミンの香りを使ってその花の雰囲気を表現したのだろうと軽い気持ちで香ると、勢い良くアブソリュートが溢れだして驚きました。確かにシトラスノートやグリーンノートもありますが、美しいジャスミンアブソリュートがワイルドになりすぎることなく香っているのです。残念ながらマダガスカルジャスミンに似ているのかどうかわからないのですが、香り自体はサンバックジャスミンとグランディフローラムの中間といったところで、精油感をかなり強くかんじられます。シトラスノートやグリーンノート、ジャスミンの中の精油感が少し薄れていくだけで、基本的には生花を飾っているかのようなジャスミンというシングルノートに近い形で薄れていきます。とても美しいジャスミン香ですので、ワイルド過ぎない良質なジャスミンを探している方は是非お試しを。(19/02/2016)


■Magnolia Grandiflora Michel (2014年)

2作目はEdmond Roudnitskaの息子であるMichel Roudnitskaが担当することとなりました。とても面白いことに、テーマが前作と同じタイサンボクなのです。2人の調香師が同じ花をテーマとして作り出すというのは画期的なことですよね。もちろんアプローチは違うわけですから。

 

 

トップ:レモン、ベルガモット、グレープフルーツ
ミドル:ジャスミン、イランイラン、ローズ、マグノリア
ベース:ベチバー、パチョリ、ムスク

こちらはマグノリアというよりもジャスミンですね。かなりグリーンなジャスミンとイランイランのコンビネーションで始まり、トップではタイサンボクの香りを想像すると少し残念な感じなのですが、グリーンノートが落ち着いたミドルからは瑞々しいタイサンボクの香りが広がります。Sandrine Videaultのものよりもリアルではありませんが、香水として楽しめるのはこちらで、南国の風に合うさっぱりとしたフローラルです。(10/03/2014)


■Magnolia Grandiflora Sandrine (2013年)

(生涯弟子はとらなかったという)Edmond Roudnitskaの教えを受けたというSandrine Videaultによる遺作です。若くして2013年7月、亡くなられました。LesNesなど手がけた香りは多くはありませんでしたが、若くしてなくなられたのはとても残念です。

 

 

トップ:シトラスノート、グレープフルーツ、ホワイトペッパー
ミドル:ドライウッドアコード、フレッシュガーデンアコード
ベース:マリンノート、ムスク

香りはかなりグリーンノートの強いフローラルです。トップではシトラスとペッパーが弾け、全くタイサンボクではない、と感じたのですが、次第にリアルなまでのタイサンボク感を感じるようになりました。決して美化していない生々しいタイサンボクの香りはこういう雰囲気なのです。ガーデニアにも良く使用されるグリーンノートがガーデニア以上に飛び出していて、良い香りかいうと考えてしまう部分はあるのですが、リアルさを追求したらこういう香りになったとしても決しておかしくありません。タイサンボクの花は少しクリーミーですが瑞々しく青く、確かにペッパーのスパイシーさを感じさせる香りなのです。マリンノートはわがすなアクセントでしかなく、生花らしさを壊すほどではないのですが、フローラルノート自体は長続きせず、特徴的なグリーンノートが肌に残りますので、やはり好き嫌いは分かれるところ。特に価格が2万円ですからね。(10/03/2014)

 

 

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