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Sampleレヴュー (La Collection Orientale)

 

 

La Collection Orientale

2023年に発売されたメンズの4種の香りは、La Collection Orientaleと名付けられました。4種それぞれにテーマとなる香りを設け、それをキーノートとしてウビガンらしいスキルでまとめた、というもの。基本的に全てがオリエンタルなトーンでまとめられており、他のメンズの香りよりも力強いメンズ香となっています。100mlのEdPが160ユーロで発売に。

(19/06/2023)

 

 

■Tabac Nomade (2023年)

さすらいのタバコ。もともとは南米のボリビア近くのアンデスが原産とされるタバコは、中米で栽培が盛んとなり、コロンブスによって世界に広まった歴史があります。タバコの香りにはリアルなタール系のものと、葉巻の香りのものと大きく2つに分かれるのですが、こちらは葉巻のタイプです。

トップ:ベルガモット、ローズ、スパイス
ミドル:トンカビーン、サフラン、タバコ
ベース:レザーアコード、バニラ

4種の中では一番クールな香り。タバコそのものではなく、甘く広がるスパイシーなタバコで、サフランも強すぎず、レザーも強すぎず、ローズもそれとわかるほど主張せず、全てがタバコをセクシーに盛り立てて広がっていきます。実はタバコのアコードは少量で、それ以外のそうしたエッセンスでタバコっぽいトーンを生み出しているのかもしれないと思わせるほどで、クラシカル過ぎず、ダーク過ぎることもない、正統派だけど個性のあるタバコの香りです。(20/06/2023)


■Ambre des Abysses (2023年)

文字通りに奈落の底の暗いアンバーなのか、深淵という意味でのアンバーグリス風アンバーなのか。オフィシャルは海の画像が出ていますので、アンバーグリスからイメージされた香りなのでしょう。アンバーグリス(グレイのアンバー)も琥珀のアンバーもともとは海わを漂うものという意味のアラビア語、アンバールから派生した言葉です。

トップ:ベルガモット、ミント、オレンジブロッサム
ミドル:ローズマリー、アンバー、ゼラニウム、ジャスミン、パチョリ
ベース:オークモス、レザー、バニラ、トンカビーン

ゼラニウムにパチョリとオークモス、そしてトンカビーン。となれば、ラベンダーが加わるとすぐにフゼアになる調香です。そこわ敢えてローズマリーにすることでフゼア感をなくし、ミントをアクセントにすることで海のイメージにつなげたのでしょう。パチョリとミントで海を表現したフレグランスもありますから。フレッシュさはトップの一瞬で消え、すぐにアンバーノートが香り始めますが、ダークなオリエンタルアンバーではなく、どことなく軽やかさを保ったままのアンバーで、最後はクマリンが強めに肌に残ります。フレッシュなオレンジブロッサムとアロマティックなニュアンスが海を漂う感じを思わせる・・・となると深淵ではなく海面になってしまうのですが。アンバーというほどアンバーではない、アロマティックオリエンタルといったところでしょう。(20/06/2023)


■Oud Or (2023年)

ウードのフレグランスはすでに飽和状態であり、余程のコンセプトと内容でないと他社製品との差別化が難しいテーマではありますが、ブランドとして俯瞰で見ると、1つくらいはあった方が良いよね、という香りです。

トップ:ローズ、ラズベリー、オレンジブロッサム
ミドル:ラブダナム、サフラン、イソイースーパー、パチョリ、ゼラニウム、カシュメラン
ベース:ウード、ガイヤックウッド、シダーウッド、バニラ

これも1つのウードの形でしょう。というのが第一印象でした。アニマリックではなく、レザーでもないアンバーウッディの延長戦上にあるウードの香り。アンバーウッディをオリエンタルというフォーマルスタイルに仕立て、ウードにしましたというような香りで、スモーキーなガイヤックウッドやカシミアウッド、カシミアとも呼ばれるカシュメラン、サフランの効いたアンバーウッディが醸し出すウードの形。天然香料のウードを使わなくても十分ウードを楽しめるのです。(19/06/2023)


■Patchouli Sauvage (2023年)

パチョリの産地の中にインドネシアがあるのですが、インドネシアの人たちはパチョリには花が咲かないと言います。でも、栽培をしてみたら花が咲きました。そう、彼らは常に花が咲く前に収穫しているため、花が咲く様子を見たことがないのでしょう。ワイルドなパチョリは花が咲くのです。

トップ:ベルガモット、ホワイトグレープフルーツ
ミドル:ラブダナム、パチョリ、ドライフルーツアコード
ベース:アンバー、シダーウッド、サンダルウッド、ベチバー、トンカビーン

まさにオリエンタルなパチョリです。シトラスノートが軽やかに弾けたものの、どこかメンズらしいオリエンタルパチョリへとすぐに変化し、そこからはスイートウッディなパチョリとなって落ち着きます。ドライフルーツというよりもアイリスやヴァイオレットを感じるウッディノートがメインで、パチョリがアクセントとなって静かに重なっています。後半はメンズと言わずにユニセックスで使えそうなテイストです。もともとパチョリは蒸留されたばかりのものよりも、20年、30年と寝かせて熟成された香料の方が価値があるとされています。それをAged Patchouliと呼ぶのですが、それがフレッシュなものとどのように違うかと言うと甘さが出て深みが増すのです。だからオリエンタルに仕立てるとAged Patchouli調となるわけで、理にかなった調香だと言えます。(19/06/2023)

 

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