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Sampleレヴュー

 

■Slow Explosions (2016年)

1980年、Gwen K. Vroomenが退屈な仕事を辞めて出かけたバーで、世界地図のダーツをして当たったインドに出かけた。ヒンドゥーの新年を祝うお祭りに出会い、ケララの丘で花火を見て、ナイトマーケットに出かけたその夜に書いたもの・・・という設定で、インドをテーマとした香りに。

 

 

サフラン、ローズアブソリュート、レザー、アップル、ベンゾイン、カシュメラン

香りは調香が全てな感じです。トップからあふれ出てくるのはサフランローズで、それをしっかりと支えているのがレザーです。アップルは微かなアクセント程度でフルーティーにしているわけではありませんので、全体的に軸であるサフラン調のレザーというのを邪魔することなく香っています。インドのケララ州と言えば様々なスパイスの産地であり、日々使用されているわけですが、サフラン以外はわからないほど微量なアクセントに留められています。ワイルドではなく、フェミニンでもなく、力強くもない。最後はアップルのフルーティーな残り香がベンゾインがレザーと共に肌に残るという、とても良いバランスで成り立っているサフランローズレザーだと思います。(07/02/2017)


■Cape Heartache (2013年)

太平洋岸北西部(パシフィックノースウエスト)のランドスケープをテーマとした香りとなりました。Memoirs of a Trespasserと同じPhilip Savaの著書で、「失恋で失った心の欠片を探すなら、この森の小枝や松の葉の絨毯を探してみるといい」とのこと。だからタイトルは失恋岬なんですね。彼の中のベストセラー小説で、1881年、彼がまだティーンエイジャーだった頃のネイティブアメリカンの女性とのロマンスを小説化したもので、彼の著書の中では一番ストレートな内容だそうです。旅行はもちろん、1人で酒を飲むときや雨の夜など、もの寂しい秋冬にぴったりとのこと。

ダグラスファー、松脂、ウェスタンヘムロック、バニラリーフ、ストロベリー、原生林の霧

ストロベリーが異様に気になる調香だったのですが、さすがにそこは強調されておらず、とてもステキなバランスでファーバルサムに溶け込んでいます。少しフルーティーなニュアンスをもったファーバルサムの香りで、実に秋冬にぴったりです。秋冬というか、クリスマスにもぴったりな香りですよね。同じくファーバルサムを効果的に使用している香水が、Serge LutensのFille en Aiguillesだったり、Smell BentのPere-Noel Coward等があるのですが、最後までどことなくフルーティーなニュアンスが隠れているのが特徴で、絶妙なバランス加減を楽しめます。ファーバルサム自体がレーズン調のフルーティーさをもったウッディレジンノートですので、少し甘く苦めなオリエンタル香がお好きな方におススメです。


■Mosaic (2013年)

1870年頃に作られたという南ドイツのバーデンバーデンにあるフリードリッヒ浴場がテーマ。南ドイツの黒い森と呼ばれる地域にあるバーデンバーデンはヨーロッパ中でも有名な温泉保養地で、そこで過ごすカップルの1日が迷宮小説となって発刊された、というのが架空のストーリー。Spruce Apothecaryというポートランドの薬局のために作られました。そう、これは2013年の秋に限定発売された香りで、実在するSpruce Apothecaryというショップとのコラボ品なのです。保養温泉地ということで、モザイクのミネラルウォーターフォールをテーマとした香りに。もちろん使用はシャーワー後にどうぞ、というコメントが。

ぺティグレン、ベルガモット、オークモス、シダーウッド、石灰岩、掘りぬき井戸

予想通りのシトラスシプレです。たっぷりのシトラスにオークモスが軽やかに重なり、パチョリをあまり感じないクラシカルタイプのシトラスシプレで、微かな甘さが出ているのが特徴です。バニラではない甘さで、少しアニス調にも感じます。シトラスが抜けた後は柔らかなシプレが肌に残りますので、春夏の方が似合いそうなフレッシュシプレです。(10/02/2014)


■The Soft Lawn (2012年)

Claude LeCoq(1893-1957)はニュージャージーにあるプリンストン大学在学中だった1916年に最初の書籍を発売しました。それは上流階級の若者についての叙述で、Hampton Perryが成人するまでを描いた物語です。魅力的で生意気なカレッジテニスチャンピオンだった彼は、後年ありとあらゆるものを手にしますが、自分は全てを失っていることに気づきます。作者であるClaude LeCoqの一張羅は(当時の)貧しさの象徴とも言うべきサッカースーツ(薄いストライプのジャケット)でしかなかったのですが、20年代の富裕層の間でヒットしたファッションの、元となったスポーツ観戦や上流階級の夕食会での彼のいでたちはオシャレに映っていたそうです。(というなんとも細かな設定)

これはレジャーの香りです。週末に使用するのも良いのですが、使えばいつでも週末の雰囲気を味わえるでしょう。

リンデンブロッサム、ローレル、アイビーリーフ、ベチバー、オークモス、フレッシュテニスボール、クレイコート

今だかつて、テニスをテーマとした香水は見たことがありませんでした。しかも、彼の香りはテニスだけではなくてタイトルが芝生なんですよね。芝生を刈った時のあの青い香り、干草のような草熱れを香水として表現したらどうなるのか、というのは僕の中でも温めているテーマだったりします。少しトップではパウダリーさを感じましたが、ミドル以降は土臭さのあるグリーン香となり、芝生に寝そべっているような爽やかなグリーン香を感じさせてくれるようになります。リアルな青臭さを軽減してくれているのがリンデンブロッサムなのですが、この香りは大きな主張がなく柔らかなグリーンフローラルノートなのです。グリーンなだけで終わらない、少し個性的で楽しい芝生ですね。(01/11/2012)


■Violet Disguise (2012年)

Lenora Blumberg(1909-1983)が書いたとされる小説のタイトルで、「通りを散歩していたら、早春の花々のようにそよ風に香り元気をもらった」という書き出しで物語は始まります。生粋のカリフォルニアっ子だった彼女の初期の小説は、無邪気に公園でピクニックをしたり、果樹園でプラムを収穫したり、峡谷の上から下までナイトクルージングしたりする話でした。Violet Disguiseが映画化された後、ハリウッドのエリートと数年交際するものの、オハイバレーにあるプラム園での静かな生活を求めて華やかな世界を後にします。

これは、日々の生活の中にで小さな喜びを感じさせてくれる香りで、あなたに春の伊吹を感じさせてくれるでしょう。

プラム、ヴァイオレット、ドライフルーツ、バルサム、アンバー、夜風、5月

可愛らしいフルーティーフローラルかと思いきや、ツンとした酸味の奥からアンバーノートが顔を覗かせるフルーティーオリエンタルとなっています。可愛らしい酸味を感じられたのはトップの数分で、時間と共にセクシーなフロリエンタル調の香りへと変化していくのです。このブランドの中ではとても女性的な香りなのですが、ターゲットは飽くまでも大人なのだと主張しているような香りとなっています。オリエンタルですがとても軽やかで、モスやアイリスの香るラストノートはクラシカルでとても素敵です。


■The Cobra & The Canary (2012年)

James Spundt(1933-1969)が書いた架空の小説。23歳の主人公Neal Orrisの逃走劇で、家族経営の農園経営が行き詰った親友と一緒に1964年製のコブラロードスターに乗り、カリフォルニアのパームスプリングスを目指して旅行する、というもの。ひなびたモーテル、涼しげなプール、カクテルとバーのタバコの煙・・・等の香るイメージのようです。

暑い平日に、ちょっと気晴らしを・・・と車を飛ばして田舎をドライブしてリフレッシュしたい、という時に良いでしょう。

レモン、アイリス、タバコフラワー、レザー、ヘイ(干草)、アスファルト

レザーとタバコという往年のメンズフレグランスの軸を、アニス調の甘さをもった干草の香りでまとめた男性的な香りです。力強いメンズ香なのですが、どこか柔らかく優しく感じてしまうのは作り手の意思がそうさせているのかもしれません。タバコフラワーの中には少なからずタバコアブソリュートが入っているようで、少しレーズンのようなフルーティーさを感じることが出来ます。車、特にクラシックカーがお好きな方にはぴったりなのではないでしょうか。


■L'Orchidee Terrible (2012年)

Andrey Blavot(1919-1999)が、50年代のファッション業界に衝撃を与えたパリの肖像画について書いた書籍。休暇を家族と共にパリで過ごすため、イングランドの田舎街からやってきた少女Honey Martineの話で、彼女はファッションデザイナーにスカウトされてオートクチュール業界に入ることとなります。波乱に富んだ彼女の物語は、実はHoney Martineの話ではなくAndrey Blavotの自叙伝だったのではないかと噂が経つほど彼女の私生活はヴェールに包まれています。(という設定)

とても魅力的な香りですから、たとえ装飾のないリトルブラックドレスだったとしても魅力的な印象を与えるでしょう。

オーキッド、ハニー、スズラン、アルデヒド、ホワイトムスク、サテン

トップのアルデヒドがとても美しいハニーフローラルです。クラシカルなテーマには欠かすことの出来ないエッセンスがアルデヒドですが、個性的にすることも出来ますし、品良く美しくまとめることも出来る要素です。こちらのまとめ方は個性ではなく美しさを際立たせるために使われていて、シルクのストールを1つ足したような明るさ、軽やかさ、肌触りの良さを感じさせてくれます。オーキッド自体の香りはつかみどころがなく、スズランに少しジャスミン調のグリーンフローラルがあるかな、という感じですので、系統としてはハニーフローラルですが、軽やかな香りとなっています。(31/10/2012)


■Falling Into The Sea (2012年)

Nica Galas(1950-2007)が19歳の時に発売した最初の書籍(もちろん架空)。それはナポリでの短い恋愛をいくつも記した自叙伝で、男性たちが崖から海に飛び込んでいる間、彼らのために彼女と友人がジャスミンを摘んでいるという場面で始まります。ある月明かりの輝く夜、ファーストキスをした彼女。その彼は暗い海に飛び込んだまま二度と浮き上がることはありませんでした。彼女は裸のままで彼の名を叫び続け・・・

この香りは焼け付くナポリの太陽を瓶の中に閉じ込めました。だから、曇り空の日に使うのが良いでしょう。

レモン、ベルガモット、グレープフルーツ、ライチ、トロピカルフラワー、温かい砂

香りはすっきりとしたしぶきのようなオゾンっぽいアルデヒドが潮っぽく弾け、マリンノートのようなシトラスノートで始まります。そのマリンノートのような潮っぽい香りはトップの瞬間で消えてしまい、すぐに香りはジャックフルーツやパパイヤのようなビターシトラスノートへつ変化していきます。すっきりさっぱりとした苦味の利いたトロピカルフルーツが小気味良く香り、やがて温かなムスクへと落ち着きます。レモンの溢れるナポリの町のイメージではありませんが、照りつける太陽のイメージは確かにあります。その陽射しにとても良く似合う香りだと思います。続編があるとすれば是非、彼目線のストーリーにして欲しいです。(30/10/2012)


■Bull's Blood (2012年)

Davante Valereo(1925-????)が書いたとした短編小説で、闘牛士だった父との思い出を綴ったもの。なんと不気味な内容ゆえに(タイトルも雄牛の血だし)何年も発売禁止となった書籍だそうで、彼はバーで乱闘騒ぎを起こして1967年に逃亡者となって消えたそうです。設定が細かすぎる!

これはパワフルな香りですので、困難な壁にぶち当たった時に恐れず前に進むために使うと良いでしょう。

パチョリ、ローズ、コスタスルート、タバコ、ブラックムスク、雄牛の血

思わず声を上げてしまうほど野生的な香りです。本気でアニマルノートを使用したのはLa Via del Profumoくらいだと思っていたのですが、ここにもこんなにアニマリックな香りが・・・。Le LABOのOudもアニマリックですが、こちらはローズとパチョリがたっぷりのウッディノートにまみれていて、牧場で牛の背中を撫でているようなワイルドさを感じます。ミドルノートくらいで消えていきますし、慣れてしまえば安心できるアニマリックさではありますが、とても男性的で荒々しい感じが出ています。アイリス系ウッディノートのコスタスルートももちろん香っており、ラストノートはどんどんアイリス系のパウダリーウッディノートが強くなります。(Costausolという合成香料だと思います)うーーーん、ペットを飼っている皆さまであればこれくらい・・・という気もしますが、最初のインパクトは凄いので、心してお試し下さい。(30/10/2012)

 

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