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Sampleレヴュー





■Mon Seul Desir (2017年)

L'Artisan ParfumeurのRose Priveeを手がけたStephanie Bakoucheによる調香。彼女がL'Artisan Parfumeurで働いていた頃、Madalinaはフラッグストアのマネージャーだったのだそう。L'Artisan Parfumeurのラボが本店の上にあることは有名ですよね。その頃からの交流があり、彼女が作った香りについての意見も聞いていたよう。テーマは有名な絵画や芸術作品へのオマージュということで、タペストリーの傑作と言われる、1500年頃にシルクと羊毛で織られたThe Lady and the Unicorn(婦人とユニコーン)が題材に。

 

 

トップ:ナツメグ、マンダリン、ピンクペッパー
ミドル:オスマンサス、コリアンダー、ウード
ベース:ベンゾイン、ムスク、ガイヤックウッド、アンバー、レザー

もともとMadalinaのために作られ、長年彼女の愛用品だったという香りを、このシリーズのために再構成したものなのだとか。タイトルは「私のただ一つの欲求」という意味で、今すぐ香りたくなる香りに。マンダリンとオスマンサスを軸に、ナツメグで古いタペストリーの質感を、ウードやベンゾインで柔らかく温かな質感を表現した香りで、トップではマンダリンがオスマンサスとナツメグと共に明るく弾けますが、このオスマンサスは日本人がイメージするリアルなオスマンサスそのものではなく、飽くまでもオスマンサス風アコードです。どちらかというとオスマンサスの中のウッディでフルーティーな部分(ベータイオノン)が軸にあり、微かなアプリコットを加えたというニュアンスのアコードとなっています。それを支えるのは少しスモーキーにも感じられるウッディオリエンタルなベースで、どっしりとした重厚感はないものの、たっぷりのムスクに包まれてタペストリー感を感じさせるくすんだウッディムスクとなって肌に残ります。(05/04/2017)


■Fugit Amor (2017年)

Stephanie Bakoucheさんは8年間L'Artisan Parfumeurで商品開発のマネージャーやスタッフの教育をしていたそう。だからBertrand Duchaufour氏とタッグを組んでいたけれど、名前が世に出ない調香師だったのです。彼女がJul et Madのために作った2つ目の香りのテーマとなったのはロダンの彫刻でした。冷たい大理石の質感し、温かな愛情、欲望をカーネーションを使用して表現したもの。

 

 

トップ:ピンクペッパー、エレミ、ジンジャー、カルダモン、シナモン
ミドル:カーネーション
ベース:ベチバー、シダーウッド、アンバー、ムスク

香りはとてもスパイシーに始まります。ジンジャーとカルダモンを軸に、各種スパイスがキラキラと弾けるように香り、そこから少し柔らかさをもった抑えたカーネーションへとつながっていきます。このカーネーションはクローヴが強く、ねっとりとした濃厚なタイプのカーネーションではなく、どちらかというとドライで金属的なニュアンスのあるカーネーションですので、あまりフローラルと感じられないかもしれません。バニラを抑えることで大理石の白く固いイメージを保持したのでしょう。ミドル以降は全てを薄っすらとしたカーネーションとムスクで包み込んだかのような、薄い残り香へと変化していくのですが、このムスクももわもわと香る重厚感のあるタイプでも甘くパウダリーなタイプでもなく、どちらかというとあっさりドライなランドリー系のものを軸にしてあるようです。大理石で表現した人肌ですからね。薄っすらと持続はしますが、全体としてはEdTのような軽やかさです。(05/04/2017)


■Bella Donna (2017年)

Les Blancheシリーズ4つ目の香りのテーマはベラドンナ。タイトルは毒性植物にもなっていますが、美しい女性のことを意味するイタリア語で、完璧に美しい女性の象徴というのはダヴィンチが手がけたこのLa Belle Ferronniere(ミラノの貴婦人の肖像)でしょう・・・ということに。調香はLuca Maffeiが担当。

 

 

トップ:ベルガモット、ジンジャー、マルベリー
ミドル:マグノリア、ジャスミン、ローズドゥメイ、アイリス、イランイラン
ベース:サンダルウッド、サフラン、ベンゾイン、オポポナックス、ラブダナム、ムスク

ピンクの液体からこぼれ出したのは、フェミニンなジャスミンのブーケでした。ジンジャーやマルベリーのフルーティーさは微かなアクセントに過ぎず、フルーティーやスパイシーと言ったニュアンスは前に出てきません。それよりもトップから華やかに香るのがジャスミンなのです。ジャスミンが他の花々に彩られ、時折顔をのぞかせるイランイランと共にセクシーに香るというのが全体像。少し渋めなベースを使用していますが、サフランやラブダナム、オポポナックスのようなクセのある部分は全て隠され、フローラルノートに彩を添えて盛り立てつつも邪魔をするようなオリエンタルさは感じられません。飽くまでも主役であるフローラルを、肖像のようにフェミニンに表現した香りで、ジャスミンがキーノートではあるのですが、どことなくチュベローズ風にも感じられるフローラルブーケです。(04/04/2017)

 

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