すでに廃番となってしまった香りなのですが、16mlのスティックタイプが3675円、55mlは6,825円での発売でした。上記の55mlはフラコンタイプです。廃番になっても探されている方が多いというのもうなずける香りで、メインはアイリスです。日本人のイメージにはぴったりな凛とした佇まいを表現したような香りで、アイリスにグリーン香とスパイスが響きます。

付けた瞬間はアイリスが満開に広がり、パウダリーな青さが心地良いのですが、しばらくするとアイリスよりもグリーン香が強く出てくるようになり、今度はそこからジンジャーっぽいスパイスが出てきます。柔らかくて大人しいという日本美人風なものだったらエルメスの方がイメージに合うと思います。エルメスのイリスは最初から最後まで存分にアイリスを楽しめる香りになっていますから。それに比べると、微かなウッディ香とカルダモンやジンジャーのようなスパイスがとても瑞々しく香り、柔らかさとパウダリーさと共にシャープに香ります。かすかにミョウガのような香りも感じます。ミョウガではないんでしょうけど、刻んだ瞬間の瑞々しさとスパイシーさの混同した香りの雰囲気が似ているのかも。時間と共にパウダリーさが薄れていくので、そうなるとアイリスっぽさがなくなってスパイシーウッディの中にアイリスが佇んでいる、というニュアンスになります。甘さは特にないのですが、肌の上ではムスクのように広がって貼り付く感じもしますからムスクも入っているんでしょうね。ラストノートは少しビターなウッディも出てくるようです。

どっしりとした存在感のある少しインセンス風のアイリスならばLe LABOのものが良いでしょうし、美しさを求めるならばエルメスが良いでしょう。これは背筋の伸びた凛とした女性像を思い浮かべる香りです。3つの中だと1番グリーンが出ているのも特徴ですよ。

もともとはキャッチコピーというか売り文句として「肌と一体化してそれぞれの自身の香りとなる」としていたようですが、それは香水ならばみな同じです。特にムスクが入っていたらなおさらです。

(27/08/2008)