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Sampleレヴュー

■ExpLOud (2021年)

Pierre-Constantin Guerosの調香でOud AjmalとOud Boyaの2種のオイルを使用した香り。タイトルは爆発するという意味のExplodeとOudを合わせたものでしょう。

 

 

トップ:ブラックペッパー、ナツメグ、ピンクペッパー、コリアンダー、フランキンセンス
ミドル:マグノラン、リリーベッレ、ガーデニア、シプリオール
ベース:アンブロセニド、アンブロスター、2種のウード、サンダルウッド、ベチバー、パチョリ

Oud Ajmalはインディアンウード、Oud Boyaはホワイトウードと呼ばれる種類のウードなのですが、ウードが爆発するのではなく、ペッパー類の爆発でスタートします。そう、かなりペッパーの強いトップノートなのです。火花のようにチリチリと弾けたペッパーはその後にスズランやローズ調のフローラルノートが重なっていきます。その全体的なトーンはどこかしらComme des Garconsにありそうなテイストで、テーマとなっているウードというよりもアンバーウッディ調のラストノートへと引き継がれ、最後はシャープなアンバーグリスが強く肌に残ります。どっしりとしたウードを想像しているとウード感のないスパイシーフローラルアンバーウッディで肩透かしな印象を受けるかもしれませんが、比較的ドライなフローラルアンバーウッディノートは人気なのではないでしょうか。ただ、アンバーグリスが強いので、苦手な方は要注意です。(17/11/2022)


■Vanhera (2017年)

Luca Maffeiによる調香で、タイトルは自分自身を愛する人、つまりは自己陶酔のような感じ。ルカは「僕はとってもセクシーだ」とかがみに向かって言っている人と言っているのですが、ナルシストな感じですよね。

トップ:ベルガモット、カルダモン、山椒、ピンクペッパー
ミドル:サンダルウッド、カシミアウッド、シナモン
ベース:バニラ、カルマウッド、ティンバーシルク、アンバー、ムスク

彼が使用したのは、マダガスカル産のバニラアブソリュートでした。それは数年前のハリケーンで壊滅的な被害を受け、価格が高騰してしまっている貴重なアブソリュートです。その香りを使用しつつ、そのニュアンスを持続させたい、というのがテーマ。バニラアブソリュートはスモーキーで、樹脂っぽく微かにアニマリックで、甘くて美味しい香りではありません。バニラのあの甘い香りの成分はアブソリュートの中にわずか10%ほどしか含まれていないのですから。そこで彼はバニリンなどで甘さを補填し、アブソリュート感が持続するようにアンバーグリスノートやアンバーウッディノートでベースを支え、トップにスパイスを配置したのです。軸となっているバニラアブソリュートを楽しみつつ、少し別のニュアンスが、特にパワフルなアンバーグリスノートが効いて香り、グルマンかというとそうでもないぞ、というラストノートへと導かれます。オリエンタルウッディなバニラアブソリュートの形、というところでしょう。スモーキーさが少ない点がGuerlainとの大きな違いでしょうね。(15/10/2018)


■Nerotic (2016年)

ネロのような・・・というタイトルは、イタリア語のネロ、つまりブラックなのです。そして、Nを取るとエロティックにもなる、つまりはセクシーなブラックのような香りということに。ブラックコレクション最初の香りをCecile Zarokianが手がけました。

トップ:ベルガモット、グレープフルーツ、レッドフルーツ
ミドル:ゼラニウム、コリアンダー、サフラン
ベース:ドライアンバーウッディアコード、サンダルウッド、レザーアコード、スモーキーノート

ブラックを香りで表現したものは世の中にたくさんありますが、セシルはアンバー系のオリエンタルアコードが得意でたくさん手がけていますから、またこちらもそうなのだろうと思って香ると、強い甘さ、特に樹脂系を強く使ったものではなく、出来る限りドライにした香りでした。硬化ではありませんが、アンバーウッディ調に合う甘さに留められたアンバーウッディレザーが、ゆっくりと肌の上に広がります。フルーティーさもゼラニウムも強くはなく、やはり彼女の得意とするアンバーウッディオリエンタルに落ち着いています。(15/10/2018)

いかにも彼女という感じのオリエンタルなアンバーレザーです。ゼラニウムのツンとしたローズ調の酸味と、柔らかなサフランをアクセントにして、スモーキーなレザーがアンバーウッディノートと共に広がっていくという香りで、香りは時間と共にいかにも彼女なアンバーオリエンタルへと変化していきます。ブラックをイメージした香りであればパチョリやラブダナムなどが浮かびますが、そこまでダークではなく軽めなアンバーウッディノートの配合を多くしたことで15%でも軽やかなまとまりとなっています。2016年頃と言えば、スモーキーなタールの香りがフューチャーされ、Beaufortなどが生まれた頃ですので、時代に合った香りだったわけですが、スモーキーなレザーはミドルで姿を消し、最後はアンバーなオリエンタルとなって消えていきます。(17/11/2022)


■Sacreste (2018年)

長年リリースしたかったというインセンスの香りを、2年前にルカから受け取ったインセンスのサンプルから作り出したというもの。

 

 

トップ:ラブダナム、エレミ、カルダモン、サフラン
ミドル:フランキンセンス、フーメンセンス、カーボン、シプリオール、ブラックペッパー
ベース:シダーウッド、ガイヤックウッド、カシュメラン、アンバーマックス、ムスク

ルカは2種類のフランキンセンスを使用しました。1つは普通の精油、もう1つは、フーム・インセンスをつなげたような名前のFumencensで、有名なペイヤンベルトラン社の天然香料です。ともすればワイルドになったり、ピネンが爆発してアロマティックななりすぎたりするところを、彼はとても軽やかで儚げなフランキンセンスに仕立てました。ムエットではもっとスモーキーに感じ、燃えているフランキンセンスを思い浮かべたのですが、肌ではずっと大人しく、何一つ主張することなくラストノートに繋がります。でも、時間と共に突然苦みのあるラブダナムが香りだし、フランキンセンスの残り香と重なってオリエンタルへと変化していくのです。(11/10/2018)


■Need-U (2018年)

Marie Ducheneによる調香で、合成香料を多用して作られたスキンムスクフローラル。

トップ:レモン、ピンクペッパー
ミドル:ホワイトフローラル、ジャスミン、マリンノート
ベース:アンブロキサン、サンダルウッド、ホワイトムスク

ジャスミンと記載されているノートはヘディオンハイシスという香料で、空気感のある薄くて軽いジャスミン調の香りです。ホワイトフローラルの正体はベンジルサリチレートというカーネーションやジャスミン調の成分。つまり、軽い軽いフレッシュノートにマリンを足し、ムスクでまとめた、というのが全体像なのです。マリンノートは強くはないもののしっかりと存在感を感じさせるものであり、フレッシュなランドリー系ムスクというのが一番伝わりそうです。そう、洗い立てのリネンや乾いた洗濯物のような清潔感のある香りなのです。(11/10/2018)


■Nun (2016年)

古代エジプトの神Nunをタイトルとした香り。意味は最初(原始)の水の意味で、太陽神を崇めたエジプトにおいて、太陽の光を浴びて開花する蓮の花が神聖に扱われていたことは有名ですが、その花と水へのオマージュとして作られたもの。濃度は15%で、調香はLuca Maffeiが担当。

 

 

トップ:ベルガモット、レモン、ペア、ネロリ
ミドル:ホワイトロータス、ジャスミン、イランイラン
ベース:ブロンドウッド、アンバー、ムスク

香りはアクアノートに頼らないホワイトロータスです。透明感を残しつつ、少し鼻に抜けるフレッシュノートにホワイトフローラルを重ねて表現したようなロータスで、実際に蓮の花を香った時、花の奥に感じたパウダリーさ、花粉っぽさ、お茶っぽいニュアンスがそのまま閉じ込めて表現されています。華美でもセクシーでもありませんし、古代エジプトというミステリアスな感じはありませんが、京都の庭園で香っていても不思議はないくらい日本にマッチした控えめで仄かな香りです。(14/10/2016)


■MyLO (2016年)

Laboratorio in Fioreシリーズ最初の香りとしてNun と共に発売に。ホワイトリリーをテーマとした香りで、My Laboratorio Olfattivo、つまりMy LOがタイトルの意味に。濃度は15%で、調香はLuca Maffeiが担当。

 

 

トップ:ベルガモット、レモン、イエローマンダリン、ピンクペッパー
ミドル:ホワイトリリー、ジャスミン、アイリス、ローズ
ベース:ベンゾイン、バニラ、ホワイトアンバー、ムスク

結論から言うと、カサブランカではありません。何? と一瞬構えてしまうほど、トップからそれとは別のシトラスとスパイスが瑞々しく弾けるのですが、時間と共にゆっくり少しクローヴを感じさせるジャスミンが広がり始め、こういう花もあるよね、というテイストへと変化していきます。リリーというよりは少しオリエンタルなジャスミンと言った方が良さそうですが、リリーとはそうして作り出すものですので、こういうリリーもありなのかもしれません。カサブランカというよりもっと清楚で、主張しないとても控えめなホワイトフローラルで、後半にパウダリーノートが出て柔らかさを増していきます。(14/10/2016)


■Kashnoir (2013年)

ニッチ市場で引っ張りだことなった女性調香師Cecile Zarokianへの初めての依頼で生まれた香りで、禁断のエッセンスを求めて旅した結果この香りになったのだとか。カシミアではなくカシノワールで、調香を見る限りではローズパチョリと言うか、アンバーローズの変形版にも思えます。

トップ:レモン、ベルガモット、ラベンダー
ミドル:コリアンダー、ローズ、オレンジブロッサムアブソリュート
ベース:パチョリ、ベンゾイン、ヘリオトロープ、バニラ

香りは、ローズとオレンジブロッサムという2つの大きなフローラルを包み込んだオリエンタルな香りです。パチョリとベンゾインが香りの軸であり、結構しっかりと甘いパチョリとして仕上げられています。これはクセになるという意味での禁断さをテーマにしたのかもしれませんね。ファッションフレグランスにはないテイストでありつつも、ワイルドすぎないナチュラル感で且つ個性的な部分もあるのです。結構しっかりとベンゾインの効いたパチョリとなっているのが特徴で、ローズ等のフローラルノートはあまり感じられませんので、アンバーウッディ系のパチョリがお好きな方はお試しを。(29/01/2014)


■Nirmal (2010年)

5番目の香りがRosine Courageという無名な調香師の手で作られた香りで、Nirmalとはヒンドゥー語で穢れなきピュアな意味です。肌に残るピュアな香りをテーマとした香り。

トップ:キャロットシード
ミドル:アイリス、ヴァイオレット
ベース:シダーウッド、アンバー、レザーアコード

同様の雰囲気のものがOlivia Giacobettiの手によってすでに作られています。Honore des PresのI Love Les CarottesとFleur de Carotteです。彼女のバージョンとどのように違うのかがポイントなのですが、こちらの香りは付けた瞬間からアイリスがあふれ出します。パウダリーで厚みのあるアイリスで、全体が柔らかく1つにまとまっています。アイリスらしさが少しひと段落するとシダーウッドが出てくるのですが、最後に肌に残るのはアンバーの甘い香りです。飽くまでもドライにならないように安定させている程度のアンバーですので、こってりとした甘さではありません。Olivia Giacobettiの手がけた2つの香りは青さが出ていますが、こちらの香りは青みがほとんどないのが1番の相違と言えそうです。アイリス自体の香りが長く尾を引かないのですが、テーマとした肌に残るピュアな香りは表現されていると思います。少しクリーミーですし。(19/05/2011)


■Cozumel (2010年)

最初に発売された4つの香りのうちの1つ。メキシコを旅したイメージから太陽とハーブが男性の素肌と絡み合うイメージを。Cozumelとは絶景のビーチがあるメキシコの高級リゾート地で、Marie Ducheneが調香を担当。

トップ:ベルガモット、ベトナムバジル、アロマティックノート
ミドル:クラリセージ、インディアンヘンプ、ブロンドタバコ、アンバー
ベース:サンダルウッド、シダーウッド、フランキンセンス、トンカビーン

青みの少ないハーバルアロマティックな香りで、バジルにアニス系の甘さが加わった香りです。全体的にハーバルではあるのですが、くぐもった甘さが全面に出ているおかげでハーブ特有のアロマティック感が押さえられてユニセックスになっているのが特徴です。系統で言うとAnnick GoutalのMandragore辺りが近そうです。こちらはミントが香らずにフランキンセンスへと変化していくのが違いと言えそうです。全体的にとても穏やかな香りですよ。おそらくイメージしたリゾートビーチが凪なのでしょう。(19/05/2011)


■Alkemi (2010年)

化学というタイトルの香りで、調香はMarie Ducheneが担当。神に捧げられた香り(祈りのインセンス)を香りの錬金術として表現したもの。ほとんどベースノートのようなどっしりオリエンタル。

トップ:イランイラン、アンバー
ミドル:アラビアンフランキンセンス、インドネシアンパチョリ、ミルラ
ベース:カシミアウッド、アンバーバニラ、サンダルウッド

重すぎる香りではないのですが、これは個性的です。ウードを軽くしたような酸味のあるウッディノートにリキュールのような樹脂香が重なり黒糖のような蜜っぽいバルサム香へと変化して落ち着きます。ダナキャランのブラックカシミアのスパイシーな部分を削除した雰囲気にも似ており、くすんだ薫香用の樹木片にも通じる香りです。フランキンセンスの「らしい」部分はミドル以降に少しずつ出てきます。フランキンセンス&ミルラをテーマとした香りの中では一癖ある香りで、ラストノートは焦げたフランキンセンスっぽくなって終わります。(25/01/2011)

 

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