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Snob / スノッブ


<香 調> フローラル
<仕 様> レディース
<容 量> 100ml
<濃 度> EDP

トップ
アルデヒド、ヒヤシンス、ベルガモット、レモン、ネロリ、タラゴン
ミドル
ローズ、ジャスミン、イランイラン、カーネーション、スズラン、チュベローズ、アイリス、ライラック
ラスト
ベチバー、サンダルウッド、シダーウッド、トンカビーン、ムスク、シベット



1952年発売で、香りはAndre Fraysseと共にランバンのアルページュを、Jean Carlesと共にミスディスオールなんかも手がけたPaul Vacher。この香りもかなりヒットした様子で検索をするとかなりヒットします。現存するボトルもまだまだあるようなのですが、手元のあるこのボトルの素晴らしいところは香りがあまり損失していると思われない点です。何故かというとあまりにもキャップが堅いから。

フラコンボトルのパルファムで時折ガラス栓が取れなくなって困る時があるので、ガラスを傷つけないように取るためのニッパーがあるのですが、それを使わないと外れないほど強固だったのです。しかも、手で閉めても手で開けられないというくらいに強固です。おかげで揮発も全くなく、香りはとても良い状態で保存されていたのではないかと思います。とは言え、発売当初の香りを知らないのでナンとも言えませんが。

何故ここまで保存状態が良かったと感じたのかというと、香りの軸が明確に香ったからです。これはジャスミンです。サンバック系のジャスミン香がとても強く、そこにローズ、イランイランが重なっているという雰囲気がJean PatouのJoyにそっくりなのです。僕はJoyの香りを良く知っていますので、イメージが繋がったのですが、この1950年代というのはジャスミンの天然香料が華やかに取引されていた時代でもあります。きっと贅沢に香料が使用されていたのでしょうね。Joyと比べると強くはないのですがこちらの方がアルデヒドが少しだけ香ったり、ウッディノートが出てきたりして少しクラシカルに感じます。香りの厚みというか深みがあるのはJoyなのですが、ハニーノートがある分こちらの方が温かみがありますね。最低でも20年は経ている香りですが、これほど鮮やかにジャスミンが香ると嬉しくなります。

(15/06/2009)

ちょうど発売された当時、Jean Patouはアメリカ市場でJoyが大ヒットし、高級品としての認知が高まっていた頃です。このブランドはフランスで確固たる地位を得ていたのですが、この香りがJoyに似ていたからか、発売後にアメリカで発売されないようにJean Patouが商標権を申請してしまってアメリカで発売が出来なくなるという嫌がらせを行ったのだそうです。ライバル会社に対する悪質な嫌がらせは今日も存在しますが、こんなあからさまなことをしていたんですね、当時。もともとこの香りがJoyの模倣なのではないかと言われればどっちもどっちだと思いますが、価格が安くて同じクオリティの別物が市場に出回るのを阻止したかったんでしょうね。

(10/06/2010)

 

 

復刻版との比較です。新たな調香は以下。

トップ:マンダリン、ベルガモット、サフラン、アップル
ミドル:ローズ、ジャスミン、オレンジブロッサム、アイリス
ベース:サンダルウッド、シダーウッド、ホワイトムスク

新調香で生まれ変わった香りは一見、全く別物になってしまったかのように感じます。それはやはりジャスミンとローズが違うから。アブソリュートの含有量の違いが香りの違いを生んだのは明らかなのですが、香水として綺麗にまとめられているのはやはり復刻品です。少しクラシカルなテイストを残したモダンクラシカルなフローラルブーケという香りで、華やかで可愛らしさを感じるトップをすぎると、アイリスやサンダルウッドの香る少しパウダリーなリネン系の香りとなって消えていきます。ヴィンテージのものはある意味パンチのあるハニーノートの効いた濃厚さがポイントだったのですが、こちらは儚げに消えていくタイプですから、広く親しまれそうなのは復刻品の方だと思います。個人的にはとても残念なことですが、仕方ないのだと潔い諦めも必要だということですね。

(02/10/2014)

 

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