*Log in
 *Log out
 *My account

| Top | Books | Topics | PMF | Q & A | Making | Essential | Perfumers |  PRESS |
  

Sampleレヴュー

■No 9 wunderwind (2018年)

地中海に沿って並ぶ、海岸松の並木道を散歩する午後をイメージした香り。だから香りは松林に地中海のハーブを合わせたものと、晴れた海の香りのミックスに。

 

 

パインニードル、ハニー、ローズマリー、タイム、フランキンセンス
シーブリーズ、スイカ、レモン、ムスク、フローラルオゾン

オゾンにマリン。どれほどのものなのかと想像していたら、香りの軸はパインにありました。テーマがそうですもんね。パインニードルのすっきりとしたピネンの香りに合わせたのがハニーだったというところがユニークで、ハーブウォーターを飲んでいるかのようなフレッシュさがハニーと共に広がるのです。そのアクセントとなっているのがフローラルオゾンで、ハニーだけではグルマンやオリエンタルになりそうな部分をグッと持ち上げ、アロマティックでありながら甘いというユニークなミドルからラストへとつなげていきます。マリンすぎることなく、オゾンすぎることなく、スイカの香りも強くはありません。ハチミツ入りハーブウォーターと言ったところでしょうか。(17/05/2018)


■No.8 apero (2017年)

8つ目の香りとなったのは、アペリティフ(食前酒)でした。暑い一日が終わり、夕涼みをしながら、楽しく過ごす夜を待つひと時。

 

 

シャルドネ、ライム、ペティグレン、ミモザアブソリュート
ヘリオトロープ、トンカビーン、カシュメラン、ムスク、ウード

国内でもハッピータイム、ハッピーアワーを設けているお店が増えてきましたが、ヨーロッパでは日常の光景です。日没が21、22時という国では夜が長く、仕事終わりから夕食までの時間を、バールなどでカクテルを飲みながら楽しむのです。楽しみ方はそれぞれですが、リゾート地で、シャンパンを飲みつつ夕暮れを待つ・・・なんていう光景が浮かぶのが新作でした。

柔らかな甘さと共に弾けたシトラスの泡は、少しアロマティックなニュアンスを含み、アニスの甘さと共に薄いヴェールとなって肌を包み込みます。シャンパンだシャンパンだというほどシャンパンではなく、ミモザをふんわりとしたムスクのジュースで包み込んだような、薄い上着を羽織るような香りです。Extrait de Parfumですので、トップこそフレッシュなものの、柔らかくジワジワと香り、スイートムスクとなって消えていきます。軽めのランドリー系ムスクに少し甘さが加わった感じの終わり方なのですが、肌と一体化して香りますので、少しくらい付けすぎても平気なサマーフレグランスといったところ。(12/05/2017)

 

■No 7 sekushi (2016年)

旦那さんが日本生まれということもあってか、Sexyのローマ字表記がタイトルとなりました。このミステリアスな夜をイメージした香りのコントラストはレザーとグルマンノート。

レザー、パチョリ、フランキンセンス、ムスク
綿菓子、ラズベリー、アプリコット、スズラン

グルマンというよりもフルーティーな香りが全面に出ており、レザーやフランキンセンスも感じられなくはないのですが、どうしてもセクシーというよりプリティーな印象を受けてしまいます。可愛らしいから。でも、ファッションフレグランスのフルーティーフローラルや可愛らしいフルーティーなものと並べたら抜きんでてクールな感じを受けるものだと思います。トップは可愛らしいのですが、時間と共に随分落ち着いていきますから。レザーノートはスモーキーなものでもスエード調のものでもなく、アンバーウッディノートに近い鉱物っぽいニュアンスのレザーで、スイートフルーティーの中から見え隠れして香ります。(22/07/2016)


■No 6 a la carte (2016年)

言わずと知れたアラカルト。この香りのコントラストはウードとグルマンノートなのだそう。

ウード、オーストラリアンサンダルウッド、スティラックス、フランキンセンス
ピスタチオ、タフィー、バニラ、ピンクペッパー

ウードグルマンというよりも甘いウードという感じですが、ウードにグルマンノートを合わせていくのはとてもユニークですよね。アニマリックにしていくわけでもフローラルを合わせるわけでもなく、バニラと少しクリーミーなナッツのニュアンスを加えているのです。全く力強くなくワイルドでもなく、中東系のイメージのものでもなく、ユニセックスなウードとしてまとめられているのです。じっくりと香ると様々なウッディノートや大量のクマリン、少しトリュフのようなエッセンスを感じられるのですが、展示会ではこの香りのチョコレートがあり、食べながら香るという演出をしていました。あの時はウードというよりも普通のチョコレートだよね・・・と思ったのですが、じっくりと香るとあのチョコレートが思い出されるから不思議です。(22/07/2016)


■No 5 eisbach (2015年)

ドイツのミュンヘンにある川の名前がタイトルとなっています。コントラストは泡のエネルギーと知恵と調和というもの。

ベルガモット、スペアミント、グレープフルーツ、カシスアブソリュート
グリーンティーアブソリュート、ミモザアブソリュート、バジル、ラバンジングロッソ

近年の流行というか、良くあるパターンとしてアブソリュートを記載しつつもアブソリュートではない、というものがあります。産地もそう。それをイメージした香料がそういった名前でリリースされているの? と疑いたくなるほど。この香りもカシス、グリーンティー、ミモザの全てがアブソリュートではなく合成香料の香りです。特にグリーンティーアブソリュートならば香ればすぐに分かるほど日本の緑茶なんですよ。これはトップからミドルのかけてはミントグリーンティー、ミドル以降はミントとラバンジンの残り香を軸としたアロマティックノートが続きます。とてもフレッシュで明るく日本人好みなアロマティックノートですよ。夏場にはリフレッシュ出来そうな香りです。(21/07/2016)


■No 4 in between (2015年)

タイトルは何の間なんだろう・・・と思ったら、若さと成熟の間だそう。若さの象徴が上段の調香で、成熟が下段となっているのですが、僕のイメージは逆なんですよね・・・。

パチョリ、ムスク、バニラ、ローズウッド
サンバックジャスミン、ヴァイオレット、スズラン、ピーチ

まさに調香のままの香りが香ります。トップからバニラとパチョリがピーチを従えて香っているのです。パチョリは強くはなく、基本的にはバニラピーチの中にフローラルノートが微かなパチョリと共に存在しているという形で、フロリエンタルというよりもグルマン寄りの甘さの強い香りとなっています。それでもバニラはあまり持続をせず、長く肌に残るのはピーチの方なんですよね。特にムスクと重なってしっかりと肌に残りますから。若さと成熟の間って40代? それとも50代? でもこの香りのイメージは結構若いような気が・・・。(21/07/2016)


■No 3 acqua tempesta (2015年)

水の嵐、つまり海上の嵐のようなニュアンスのタイトルです。タイトルは各国語で付けられているのですが、今回はイタリア語でスモーキーノートとアクアノートのコントラストというのが軸。

マンダリン、フランキンセンス、ベチバー、シダーウッド
アクアノート、へディオン、ペパーミント、エレミ

アクアノートが強すぎず、微かに広がるスモーキーなタール香がウッディノートに重なって香ります。それでも、香りの軸はへディオンを大量投入した明るいフレッシュノートたちにあり、フランキンセンスやミント、エレミたちが隠れてしまっているのです。タールのスモーキーさがフレッシュノートの中から感じられるあたりは少しユニークにも感じますが、やはり基本はどこかで香ったことのあるメンズのファッションフレグランスというテイストで、ラストノートはタールがあるからかレザーっぽいニュアンスへと変化していきます。タールを本当に薄くしていったらレザーノートの代用となる、というのを体感出来ますよ。(21/07/2016)


■No 2 skrik (2015年)

スウェーデン語で叫びの意味のタイトルで、画家ムンクの叫びにインスパイアされたもの。彼はノルウェーの方だったんですね。香りの軸はシダーウッドとバニラです。

イソイースーパー、へディオン、ベティグレン、サンダルウッド
バニラ、ラバンジングロッソ、トンカビーン、ムスク

ラベンダーを柔らかなクマリン系アンバーで包んだ、というのが全体像。トップからラベンダーがとても印象的に香り、アロマティックなメンズのフゼアとなっています。ラベンダーが通常良くあるタイプではなくグロッソであることからカンファーが感じられ、トップでは爽快な少し湿布のようなラベンダー香となっているのが特徴で、アンバーラベンダーであればユニセックスなのですが、クマリン(トンカビーン)が入ることにより、一気にメンズ香へと変化していきます。ムンクの叫びのあの絵画の中にどのような世界観を感じるのかは人それぞれだと思いますが、少し優等生的な香りとなっています。(20/07/2016)


■No 1 el pasajero (2015年)

スペイン語で旅人と名付けられた最初の香りは、輝くダイヤモンドとシルキーなマグノリアのコントラストで表現されたアンダルシアの夏の夜の香り。

シーウィードアブソリュート、アンバー、へディオン、ガルバナム
マグノリア、バニラ、オスマンサスアブソリュート、ベンゾイン

シーウィードはアブソリュートではなくてただのマリンノートだとトップでガッカリした瞬間、それは弾けて消えてしまいました。アルデヒドでももう少し持続をするのになんと逃げ足の速いマリンノートなのだろう。爽やかだったよね、という残香も微かなのですが、マリンノートというのはとても持続が良い香料です。そう、ラストノートでまた感じられるようになるのです。へディオンはたっぷりと使用されているのがわかるのですが、ガルバナムはわからず、オスマンサスもアブソリュートではなく、それらしさは全く感じられません。言うなればエアリーなフレッシュマグノリアで、夜というより海岸を散歩する初夏の午後、という印象です。個性はありませんが、誰もが使いやすいフレッシュフローラルですので、幅広く受け入れられそうです。(20/07/2016)

 

<Lengling Topへ戻る>

profice〜香水のポータルサイト〜