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Sampleレヴュー

■Santal Nabataea (2018年)

ハウスパフューマーとなったFredrik Dalmanが担当。テーマはヨルダンのペトラにあったナバテア王国です。砂岩の色合いを香りにしたようですね。

ブラックペッパー、ブラックカラントリーフ、ドライアプリコット、キョウチクトウ、オポポナックス、サンドストーン、オーストラリアンサンダルウッド、インディアンサンダルウッド、コーヒーアブソリュート

香りはたっぷりのサンダルウッドベースに少し甘く苦いコーヒーをアクセントとし、温かみのあるベージュ色を感じさせる香りになっていました。サンダルウッドにはココナッツやミルクの甘さを併せますが、そこに少しハニーがあったり、コーヒーがあったり、バニラやクマリンなどの甘さ、パウダリーさが加わることで、サンダルウッドのおが屑感を和らげ、とても滑らかな香りへと落ち着かせています。浮き立つトップは少なく、緩やかに流れていきますので、たっぷりと使用しても平気そう。とても肌馴染みの良いサンダルウッドです。この香りにびっくりして買ってしまったと友人から連絡があったのですが、共感出来る友人は少ないよなぁ、と一足先に試せていたことに感謝です。(31/01/2019)


■Dojima (2017年)

なんと大阪の堂島米市場から名付けられたもの。1697年、侍によって設立されたとオフィシャルにあるのですが、文明開化するまでは侍(武士)文化だったんですよね、そういえば。一言で説明するにはとても難しい取引の仕組みなのですが、どうしてこれが海外ブランドの目に留まったのか、というと世界最古の先物市場として金融業界では有名な出来事なのだそう。お金の代わりに収められ、賃金代わりに支払われていたお米を現金化する、という流れの中で、余剰による価格下落を調整しつつ、先物取引をしていたのだそう。北区堂島浜には今でも跡碑があります。

 

 

ライスアコード、ナツメグアブソリュート、アンブレット、ジャスミン、アイリス、クラリセージアブソリュート、ラブダナム、サンダルウッド、ムスク

香りはもちろん、お米がテーマです。リアルなお米のパウダーさを組み込んだ、アイリス系パウダリームスクが軸で、そこにスパイスやジャスミンなどが微かなアクセントを添えて香ります。甘さは自然な甘さでグルマンではなく、オリエンタルでもありません。この中にあるライスアコードは、どちらかというとジャスミンがあることでタイのジャスミンライス、香り米のように香るのですが、どうにもこうにも、その部分が時折脱いだばかりの靴下のように感じられてしまうのです。これはもともと香り米の香料自体がそうしたニュアンスを感じさせるものなので仕方のないことなのですが、じっくり香っているとそのニュアンスが消え、香ばしさが残りますので、少し香ばしいライスパウダーアイリスムスクというのが全体像と言えそうです。ラブダナムはラストノートに少しだけ、顔を出す程度で、最後まで穏やかに香ります。(15/01/2018)


■Suede de Suede (2017年)

Fredrik Dalmanをハウスパフューマーとして迎えての2作目です。

クラウドベリー、山椒、スエードアコード、シダーウッド、オスマンサス、ストロベリーリーフ、カストリウム、パチョリ、ムスク

スエードには、それにぴったりな香料がありますので、それで終了もあり得るわけですが、そんなことはなく、その香料を使用しつつもフレッシュでパウダリーに始まりました。スエードにアイリス、少しアロマティックなニュアンスを含んでのスタートです。山椒の香料はリナロールが強いので、きっとそれだったんでしょうね。オスマンサスやカストリウムはそれと分かるほど強くはなく、柔らかなウッディノートにスエードを溶け込ませ、あまりスエード感を全面に出さないような形となっています。力強いレザーっぽさは皆無で、とてもフェミニンにも感じられるほどのウッディレザーです。HermesやMFKのようにアンバーウッディノートをたっぷりと使用したベースではないため、ベースがとても穏やかです。パンチや個性はないけれど、流行を追っていない分、色褪せしにくい香りかもしれません。(11/12/2017)


■Myrrh Casati (2014年)

ボトルリニューアルを機に発売された香りで、調香は初めてMona以外の方を起用することととなりました。担当はMelanie Lerouxです。

1800-1900年代のファッションアイコンというか、奇抜なスタイルで人気を博した女性(ミューズ)Marchesa Luisa Casati (1881-1957)にインスパイアされた香り。

 

 

レッドベリー、ピンクペッパー、グアテマラカルダモン、サフラン、リコリス、シャムベンゾイン、ミルラ、フランキンセンス、パチョリ、シプリオール、ガイヤックウッド

香りはタイトルに忠実で、香りの軸はミルラです。トップではカルダモンが弾け、スパイシーな香りでスタートするのですが、ベリー系の可愛らしさは感じるほど多くなく、基本的にはドライでシャープなミルラで始まります。スパイスが印象的なトップをすぎるとミルラがどんどん近づいてくる感じで目の前に広がり始めます。ベンゾインはあるものの基本的には甘さがとても控えめで、ムスクにも頼らず、ウッディノートがミルラを支えています。ミルラをミルラらしく楽しめる香水というのはありそうであまり多くはないのですが、これはミルラをワイルドではなくユニセックスな形で楽しめる香りとなっています。(07/10/2014)


■Les Nombres d’Or Oud (2011年)

ムスクとアンバーグリス以外は全て天然香料という豪華な香り。このLes Nombres d’Orコレクションが発売された時にはすでにこの香りも出来上がっていたようで、ビジュアルは同時にお目見えしていました。

トップ:フィリピンエレミ、カラブリアングリーンマンダリン、パラグアイぺティグレン
ミドル:インドネシアンパチョリ、チャイニーズオスマンサスアブソリュート、インディアンナガモルタ、アトラスシダーウッド
ベース:ラオスウード、ムスク、アンバーグリス

100mlが375ユーロもする豪華な1品なわけですが、ウードのウードらしさを期待すると残念な香りです。トップノートというか付けた瞬間にウードが香るのですが、あっという間にパチョリに隠れ、酸味のあるオリエンタルウッディへと変化します。オスマンサスアブソリュートがウードのもつ酸味を強調しているように思うのですが、エレミやシトラスノートは全く感じられないほど微量です。飽くまでも軸となっているのはパチョリとウッディノートで、なんだかミドル以降はウードというよりもオポポナックスベース風な感じになってしまいます。柔らかくて素敵な香りですから、これがGuerlainだったとしたら高級ラインになっていても不思議はないところ。でも、Mona di OrioでタイトルがOudなのですから、もっときちんとウードらしさを楽しめるものだと375ユーロでも納得出来るのになぁ、と感じてしまいました。彼女は飽くまでも男性的ななりがちなウードという素材を女性でも使いやすい香りとなるように心がけた、ということなんでしょうね。他のラインはEau de Parfumなのですが、こちらはEau de Parfum Intenceということなのでより濃度が高くParfumに近いのかと思ったら、そういうことではなくて普通に軽やかなEdPでした。(29/11/2012)

追記です。タイトルがボトル変更を機に変更となり、Oud Osmanthusとなりました。以前に試した際よりもウードを強く感じるようになり、微かにアニマリックなテイストやスモーキーな部分もしっかりと感じられるタイトル通りの香りとなりました。ウードを使用したスモーキーなウッディというのが香りの軸で、トップからミドルにかけてのアクセントにオスマンサスが見え隠れしている、というのが全体像です。(07/10/2014)


■Les Nombres d’Or Ambre (2010年)

ムスク、レザーと共に発売された最初の3つの香りのうちの1つ。

アトラスシダーウッド、コモロイランイラン、ベンゾイン、トルーバルサム、マダガスカルバニラアブソリュート

典型的なアンバーノートに思えそうなトップから変化したのはオリエンタルなウッディノートでした。
これはアンバーらしいアンバーを楽しむものではなく、アンバーノートに包まれたウッディノートを楽しむ香りとでも言いたげなくらいウッディノートが美しくセクシーで、薄い薄いヴェールのように広がりながらやがてベンゾインやバニラアブソリュートなどの甘いアンバーノートへと変化して消えていきます。EdTであることと、バニラアブソリュートは合成のVanillinよりも甘さが出にくいこともあり、思いの他さっぱりと消えていくところが良いのかもしれません。この3種のシリーズはお互いに重ねても良さそうですよ。(20/11/2012)


■Les Nombres d’Or Rose Etoile de Hollande (2012年)

彼女の死後に発売された彼女へのオマージュ作品。彼女はいなくとも残されたレシピはいくつかあるわけで、オーナーはJeroen Oude Sogtoenですから存続していくわけです。彼女はフランスのMaison Sainte Blancheの壁を伝うつるバラに魅せられて、それを再現しようとしていたようです。そのレシピがあったんでしょうね。タイトルのEtoile de Hollandeというのが右の画像のつるバラです。

カラブリアンベルガモット、ホワイトピーチ、ヘリオトロピン、ブルガリアンローズ、トルコローズ、エジプシャンゼラニウム、クローヴ、パチョリ、ヴァージニアシダーウッド、アトラスシダーウッド、マダガスカルバニラ、シャムベンゾイン、アンバー、ペルーバルサム

ここ数年の彼女の香りは質は良くとも天然香料がワイルド過ぎて、良い香りなのに使っていて疲れるものが多かったのですが、こちらはHeliotropinの効いたパウダリーで柔らかなローズとなっています。ローズアブソリュートも結構入っていると思うのですが、ローズらしい雰囲気は少なく、パウダリーなゼラニウムにオリエンタルノートが重なるという印象です。直球なローズ、しかも真紅のつるバラをイメージしていたのならばもう少しそれらしい酸味と華やかさがあっても良かったと思うのですが・・・。それでもミドル以降は少しティーローズ系の生花っぽい雰囲気も感じられるようになりますよ。あっという間にラストノートになるのですが、ミドルはHeliotropinのパウダリーで甘い杏仁系の香りにピーチの残り香のラクトン系(クリーミーなココナッツ風の香り)が微かに重なって香り、ラストはパウダリーなアンバーといういわゆるオポポナックス風ノートとなって消えていきます。仄かな香りが長く香るのですが、ローズらしさはもう少し強くした方が消費者には印象が伝わりやすかったのでは? と思えてしまうところが「残されたレシピ」なのかもしれません。(03/08/2012)


■ Les Nombres d’Or Vetyver (2011年)

昨年の3種に続いてチュベローズ、バニラと共に発売された香り。

マダガスカルブルージンジャー、ヴァージニアシダーウッド、ヴァイオレット、アルゼンチングレープフルーツ、ナツメグ、ブルボンベチバー、ラブダナム、ムスク、パチョリ、クラリセージアブソリュート、トンカビーン

土臭いベチバーのどっしりとした香ばしい香りを想像しているととてもフレッシュなハーバル香で始まり驚かされます。グレープフルーツにセージとニガヨモギっぽい香りが重なったトップノートで、しばらくするとナツメグが効いてくぐもったスパイシーさが広がります。そして、その奥からベチバーがお出ましになるのです。ハーバルだったのはトップだけで、基本はきちんとタイトル通りにベチバーが香るのです。ただ、彼女の作り出したベチバーは女性らしさも持ち合わせていて、メンズっぽくなりがちなベチバーという素材をハーブ等が優しく包み込んでいます。軸なのはアニス調の甘さとベチバーですので、ユニセックスで使えますよ。問題は価格に見合うかという点ですが、全体的な印象としてはTauer perfumeのVetiver Danceに似ています。精油のベチバーではなくハーバルなベチバーがお好きな方向けで、精油で言うとシトロネラっぽいベチバーになっています。(28/11/2011)


■Les Nombres d’Or Cuir (2010年)

Les Nombres d’Orシリーズとしてアンバー、ムスクと共に発売された香りで、通常ラインより高価です。ボトルも100mlの1サイズ展開と強気。

トップ:カルダモン、ニガヨモギ
ミドル:レザー、ケード
ベース:オポポナックスレジノイド、カストリウム

ケードはバーチタールのような燃えたウッディ香の天然香料です。とても強いパワフルなケードをどう活かすかがポイントの香りなのですが、これはかなり強いカルダモンとニガヨモギを投入していて、ケードの香ばしい燃えた香りが重なると、どうしても鰹節っぽく思えてなりません・・・。ミドル以降はカルダモンが消えて柔らかなレザーノートがメインとなるのですが、時間と共にどんどんワイルドなスモーキーさ(火事の時の雰囲気)が前に前に出てきて香りが焦げていきます。オポポナックスがGuerlainお得意のパウダリーなオリエンタル香ではなくてアブソリュート系の香りですので、樹木を燃やした焦げ香とアンバーレザーにカストリウムを加えたような香りとなって肌に残るのですが、これはケードやバーチタール特有の燃えた樹木の香りご存知の方にはスムーズに伝わる香りでですよね。頑張って頑張ってフェミニンにしてみてもやっぱりタールはタールなんですよ。そのタールの奥にあるペタッとしたウッディノートはIsobutyl quinolineというレザーノートを作り出す合成香料で、この香りが1番長く持続します。(28/11/2011)


■Tubereuse (2011年)

Les Nombres d’Orシリーズの新作としてVetyver、Vanilleと共に発売された香り。Vetyver、Vanilleは145ユーロなのに対し、Tubereuseは160ユーロと一際高価。

トップ:ベルガモット、ピンクペッパー
ミドル:インディアンチュベローズアブソリュート、ヘリオトロープ、ココナッツ
ベース:ベンゾイン、カシュメラン

高価なだけにチュベローズのアブソリュートを惜しげなく投入した香りだと期待をしたらノックアウトされるほど強いピンクペッパーが香りました。ピンクペッパーもさほど安くはない香料ですが、ピンクペッパーに隠れてトップからチュベローズのアブソリュートは見えず、一息ついたところでクリーミーなチュベローズというかフルーティーなオレンジブロッサム調の香りがココナッツと共に香り出します。この香りの中のチュベローズアブソリュートはAnnick GoutalやPalazzo Vecchio、Honore des Pres、Keiko Mecheri、Frederic Malleのチュベローズアブソリュート製品群には勝てず、少し物足りなさが残ってしまいます。この160ユーロという価格ならばもっと真摯にアブソリュート感を楽しみたいですよね。トップのピンクペッパーに驚かされましたが、ミドル以降はHonore des PresのVamp a NYよりさっぱりとした香りとなって落ち着きます。アブソリュート感がお好きな方向けではなく、綺麗なフルーティーなオレンジブロッサムっぽい香りがお好きな方の方がお好みに合いそうです。(03/08/2011)


■Jabu (2009年)

アフリカでHIVの子どもたち(赤ちゃんや妊婦)を支援するオランダの慈善団体(www.orangebabies.com)に敬意を表して作られたもの。Jabu(Jubulani- Zulu)とはアフリカの言葉でJoy、Pleasureを表し、原色のカラフルなアフリカンカラーと子どもたちの笑い声をテーマとしたものに。ベースノートが樹脂系でどっしりとしている辺りにこのブランドらしさを感じます。

トップ:ブラジリアンオレンジブロッサム、南アフリカ産ぺティグレン、コモロイランイラン
ミドル:オーストラリアンアミリスウッド、ジャワベチバー、ガイヤックウッド
ベース:アンバーグリス、プラム、トンカビーン

オレンジとぺティグレンにクリーミーなムスクとアーモンドを加えたような香りです。全体的にクリーミーな香りに。第一印象はEtat Libre d'OrangeのDivin' Enfantに似ていて、レザーノートを樹脂香に置き換えたらそっくりになるのかもしれません。時間と共にシトラスが抜けてクリーミーなアンバーという香りになって落ち着きます。このクリーミーさはココナッツですのでココナッツの香りが好きか否かで評価が分かれそうです。ココナッツと少しハニーノートもあるのかもしれません。もう少しフローラルノートが強かったら楽しかったのかなぁ・・・とも思いますが、アフリカのイメージというのはこういうアンバー香なのかな、とも思います。ラストノートはとても儚い香りです。(14/12/2009)


■Chamarre (2009年)

飾り立てるという意味を持ったフランス語シャマレにインスパイアされて作り出された香り。ラベンダーとクラリセージにアルデヒドを加えてしまうという斬新さ。女性的なのかと思いきやカシュメラン(メンズに多い合成香料)を使うあたりがそそります。

トップ:ラベンダー、クラリセージ、アルデヒド
ミドル:トルコローズアブソリュート、フィレンツェアイリス、ヴァイオレット
ベース:オポポナックス、カシュメラン、アンバーグリス

え?と思うほどナチュラルな香りで、飾り立てるというタイトルには不釣合いな気がします。アルデヒドは全くわからないほどで、ハニー調の甘さが微かな青さと共にトップから香ります。トンカビーンやバニラの甘さではなく、クローヴやフェンネル、アニス様の甘さでもなく、ハニーです。アイリスのパウダリーさもトルコローズらしいアブソリュート感もそこまで感じられず、時間と共にどんどんベースノートに変化してフローラルがなくなりますね。女性的でないとは言わないまでもやはりメンズ的な部分もあるのでユニセックスな香りです。甘さは時間と共に薄れてサンダルウッドやシダーウッド調の香りが出てきます。メンズのアパレル系の香りにもこういうテイストがあったよなぁ・・・と感じてしまいました。オポポナックスはゲラン調の調合ベースの香りではなくてエッセンシャルオイルを使用しています。(香りが全く別物なのですぐわかります)彼女の作り出した香りの中では少し異質と言えそうです。それでも彼女の全商品を並べるとこういう香りもあった方が良いよね、ということで納得の出来る香りです。(14/12/2009)


■Oiro (2007年)

ポルトガル語でゴールドを意味するタイトル。本人の名前のアナグラムです。2007年1月に発売となったこの香りは、真冬の暗い季節に射す太陽のように輝く。光り輝くのはジャスミンの香りで、それを軸に様々な香りを配置したそうです。今ではあまりの高価さに使われることの少なくなった高品質なジャスミンアブソリュートを使っていることについて彼女は「他のブランドがマーケティングにお金を使うように、私は高品質な香料にお金をかけるのよ」と。素敵過ぎます・・・でも他の3つよりも高価格になっています・・・。

トップ:カラブリアングリーンマンダリン、スイートピー、スパイス
ミドル:インディアンジャスミンアブソリュート、ソマリアンフランキンセンス、ヘリオトロープ、ハイチベチバー、コモロイランイラン
ベース:スパニッシュイモーテル、シダーウッド、ムスク、アンバー

とても温かみのあるジャスミンです。何?と思わず首を傾げてしまうようなジャスミン。ウッディとスパイス、フランキンセンスなのかなぁ。イランイランとジャスミンととても相性が良いので一体化してしまっているのでしょうけど、アンバーっぽい深みのある香りの中に、ジャスミンが花開いているのです。ゴールドというタイトルからすると暗闇に光るゴールドという印象です。明るい光が差し込むのではなくて、内側から光を放っている、という感じで、全体をアンダートーンなベースノートが包み込んでいるんです。少し中東系の感じもしますね。ミドル以降になると少しずつジャスミンが強くなっていきますので、ゴールドだと輝きを増しているという言い方になります。ちょっと渋くてセクシーな、他に類を見ない独自性の高いジャスミンです。ルタンスのアラニュイはキレイですし、サラセンはストレートなジャスミンですので、比べるとこれが一番凝っているように思います。 (21/12/2007)


■Carnation (2006年)

カーネーションとは花のことではなく、古いフランス語で「肌の色」を指すのだそうです。長い一日が終わる、夕景を望むその瞬間を華やかなフローラルで表現した感じです。著名なフランス人女流作家Coletteの小説を読んでいた時に小説の中から浮かび上がったイメージで、本の中で見えた香りある風景を形にしたもの。

トップ:ベルガモット、ニオイアラセイトウ、ブルボンゼラニウム
ミドル:イランイラン、ヴァイオレット、ジャスミン、プレシャスウッド
ベース:ムスク、アンバー、スティラックス

これはまた微妙な香りだなぁ。付けた瞬間から樹脂系のオリエンタルな香りが漂います。アンバーではないので、スティラックスなのかなぁ。レザーっぽい香りにアイリスとフランキンセンスを足したような感じです。その上にゼラニウムが重なってグリーン香を発しているんですよ。あ、アイリスっぽいと思ったのはヴァイオレットがあるからですね。ウッディもしっかりと効いていて、ミドル以降は柔らかなウッディレジン系に落ち着いていきます。肌の色というか肌に馴染む香りとしてベースのムスクがあって、他の香りが消えかけると随分と前に出てきます。包み込むというよりも肌と一体化するようなムスクの香り。スパイシーさがないのでこれもユニセックスなんですよ。男性的な力強さはないのですが、一風変わった感じがして素敵だと思います。最終的にはゼラニウムにムスクが重なった印象となります。 (15/12/2007)


■Nuit Noir (2006年)

数年前に出会ったセルジュルタンスにインスパイアされて作り出した香りで、彼に捧げる香りのようです。テーマは古いチュニジアの市場、ガーデン。そして、夜風とダークスパイス。

トップ:オレンジブロッサム、カルダモン、ジンジャー、ギニアオレンジ
ミドル:オリバナム、シナモン、チュベローズ、サンダルウッド、クローヴ、シダーウッド
ベース:アンバー、レザー、ムスク、トンカビーン

付けた瞬間にシトラスが広がるのですが、すっきり清々しいだけではなく同時にレザーが香ります。トップの印象はズバリ、シトラスレザー。スパイスも出てきますし、オレンジブロッサムの清々しさもあります。付けた時にゆっくりとスプレーしたために手にこぼれてしまい、手の甲が一面この香りになったのですが、こぼれた瞬間はオレンジブロッサムが香ったんです。チュニジアですから名産ですし。オレンジブロッサムが引いてからはシトラスとレザーが続きます。チュベローズとかアンバーはあまり出ていないのですが、フランキンセンスとクローヴというのはわかるかも。シトラスとレザーだとミラーハリスのキュイールドランジュがありますが、こちらの方が僕は好きかも。とってもユニセックスなセクシーさがあるんですよ。シトラスもそこそこ持続していますが、最終的にはレザーとトンカビーンが残ります。少しセクシーな深みを感じるのはアンバーがあるからでしょうね。甘さは強くないのですが。これは、レザー系がお好きな方におススメです。 (14/12/2007)


■Lux (2006年)

ラテン語で光を表すタイトルです。ダークな香りの中に射す、1つの光。それがシトラスだそうです。

トップ:シチリアレモン、クベバ、南アフリカ産ぺティグレンビガラード
ミドル:ハイチベチバー、モロッコシダーウッド、マイソールサンダルウッド
ベース:ムスク、アンバー、シャムベンゾイン、ブルボンバニラ、ラブダナム

付けた瞬間から結構な濃度のレモンがブワーッと広がります。一瞬のうちにスパークするレモンは光というか閃光のようです。それが落ち着くと今度はぺティグレンが見えてきて、ビター系のシトラスにウッディが重なります。もっともっとダークだと予想していたのですが、思ったよりも使い安い香りになっています。シトラスウッディにしてはちょっと変わっていて、乾いたウッディとシトラスに少しクセのあるスパイスというかハーブ系のものを感じるんですよ。クリアでキレイな香りと見せかけて、実は一癖ある独創的な部分を持っている香りです。でも、ルタンスほど主張はしていないので、使い安い部類ではあるんですけど。この香りに使われているシトラスの量って結構多いと思いますよ。レモンはトップで消えますが、オレンジ系の香りはかなり残りますから。ラストノートはオレンジが薄れていくのと同時にアンバーとラブダナムが出てきますので、シトラスアンバー系の香りになります。全然ワイルドではなくて最後まで使いやすい香り。(更に過ぎるとシトラスが消えてアンバーが残ります) (14/12/2007)

 

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