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Sampleレヴュー

 

■Woody Mood (2017年)

2017年春の展示会で先行してお披露目された香りで、調香はBertrand Duchaufour氏。テーマとなった写真はRoger Steffensによるもので、この写真を彼が撮影したのは1973年のことだそう。未知なる自然、太古の樹木のイメージ。

 

 

トップ:ベルガモット、ジンジャー、クラリセージ、サフラン
ミドル:セコイアウッド、ナード、ブラックティー、フランキンセンス
ベース:パチョリ、レザー、スティラックス、カカオパウダー

ムエットではオリエンタルウッディだなぁ・・・とぼんやり捉えていただけだったのですが、じっくりと肌で試してみると印象が随分違いました。トップではシトラスが弾けるものの、軸にあるのは少し苦みのあるウッディノートで、それを取り巻くように様々なエッセンスが溶け合っているというのが骨格です。スパイスをトップに配置するのは彼らしいところで、シトラスと共に弾けた後は、ウッディノートのアクセントとなって落ち着きます。おが屑のようなパウダリーさがあったり、ブラックティーのような(ウーロン茶風)の香りがあったり、時間と共にレザーが香るようになったりしますが、全てが樹木の中から香っているような雰囲気なのです。樹木に耳を当てると水流を感じることがありますが、樹木の声というのは、こうした香りなのかもしれないと妄想されてくれました。(19/09/2017)


■Close Up (2016年)

アルメニア人フォトグラファーSuren Manvelyanによる写真をモチーフに、自身の内側から外界へ、最小から最大へクローズアップするというコントラストを表現したそう。ブルーの瞳の虹彩をイメージして調香を担当したのはAnnick Menardoさん。

 

 

トップ:コーヒー、フレッシュスパイス、チェリー
ミドル:タバコ、パチョリ、アトラスシダーウッド、センティフォリアローズ
ベース:アンバー、ムスク、トンカビーン

香りはアニマリックなアンバーだと噂されていたのですが、トップはダークチョコレートやコーヒーのような甘すぎないグルマンにアニマリックなニュアンスが重なるというユニークな香りで始まります。なになに? とその奥にあるものたちが気になりゆっくりと待っているとパチョリの効いたアンバーがタバコと共に現れるのです。香りの軸はアンバータバコにあるのですが、じわじわと香るアニマルノートがユニークさを添えていて、強すぎず弱すぎず、絶妙なアクセントとなっています。甘さはあるものの、アンバーにタバコがアクセントとなり、よりセクシーなオリエンタルとなっています。ちなみに、他商品の濃度は12〜18%ですが、こちらは20%とパルファム並み。

この香りからボトルが新しくなったわけですが、展示会ではまだ試作品で間に合わずでした。今後、他の香りたちも順次入れ替わっていくことと思います。(27/09/2016)


■Still Life in Rio (2016年)

Still Lifeのフランカーというわけではなくて、別のアプローチとして作られた香り。ブラジル人のフォトグラファーFlavio Velosoによる写真、Firmenich社のDora Baghriche(Still Lifeも彼女です)による調香で、表現したのは今まさに盛り上がりを見せるブラジルのリオ。オリンピックに向けてブラジルをテーマとした商品が増えていますが、彼女は写真がまずあって、そこから香りをイメージして調香師に相談するのだそう。何故リオをテーマとしたのか聞いてみたら、ワインの輸入会社で働いていた頃、2年間住んだことがあるのだそう。画像はリオデジャネイロと言えば真っ先に思い浮かぶ観光名所、コルコバードの丘に建つキリスト像の足元にある展望スペースから撮影したもの。

 

 

トップ:柚子、ジンジャー、レモン、ミント、マンダリン
ミドル:ジャマイカンホットペッパー、ブラックペッパー、ピンクペッパー、ココナッツミルク
ベース:ラム、ブラジリアンコパイババルサム、ホワイトレザー

トップからラクトニック(クリーミー)なトロピカルフルーツが弾けます。オレンジに少しビターなテイスト(ユズ)を加え、さらにクリーミーな香りを足していくとマンゴーになるのですが、こちらも少しマンゴーのテイストを含んだトロピカルフルーツの様相です。ペッパーはすべてこのフルーツに飲み込まれ、画像のような夕暮れ色にぴったりと重なります。レザーのニュアンスは微かに、バルサムノートも渋くはなく、基本的にはトロピカルフルーツをメインに大人っぽくカクテル風に仕上げたというニュアンスで、フローラルノートがあまり感じられないのも特徴かもしれません。ブラジルというとカクテルのモヒートやカイピリーニャをテーマとした香水が多く作られていますが、こちらはそのどちらでもありません。(18/05/2016)


■Selfie (2015年)

Le GalionやJean Patouの調香師Thomas Fontaineが担当した香りで、世界的な流行語となった自撮りをタイトルに。

 

 

トップ:エレミ、ジンジャー、スターアニス、フランキンセンス、アンジェリカ
ミドル:メープルシロップアコード、シナモン、リリー、カブリューヴァ
ベース:スエード、スティラックス、ラブダナム、オークモス、パチョリ、トンカビーン、サンダルウッド

メープルシロップそのものだとも言えそうな粉末香料でメープルラクトンというのがあるのですが、それがトップで溢れ、香ばしくて甘苦いオリエンタルグルマンで始まります。系統的にはファーバルサム系の香りがお好きな方向け(Serge LutensのFille en Aiguillesなど)で、トップにフランキンセンスとエレミがあるように、メープルだと思ってゆっくり香っていると中からこの二つが見え隠れしています。ただ、飽くまでも主役はメープルでその他全ては微かなアクセントとなっています。強いて言うならばラブダナムが分かるくらいでしょうか。スエードというほどレザー感が強いわけでもなく、シプレ感が出ているわけでもありませんので、甘渋い香りとなって消えていくわけではありません。バニラを強くした美味しいグルマンではありませんので、個性的に楽しませてくれるオリエンタルという感じです。(24/02/2016)


■Lumiere Blanche (2012年)


Scala dei Turchi (スカーラ・ディ・トゥルキ)というトルコの海岸という意味を持つ画像がイメージ。ここは南イタリア、シチリア島にある白亜の岸壁で、隆起と浸食を繰り返し、このような姿になった海岸で、今とても人気の観光地となっています。でも、作り出した香りのテーマは白い繭に包まれる香りということで、アーモンドミルクを使用しています。調香はRobertet社のSidonie Lancesseurが担当。

 



トップ:カルダモン、シナモン、スターアニス
ミドル:アイリス、カシミアウッド、アーモンドミルク
ベース:ムスク、サンダルウッド、シダーウッド、トンカビーン

液体が白濁しているのが特徴なのですが、色素名が書いていないため、香料による白濁なのかもしれません。香りはクリーミーで甘いアーモンドミルク・・・ではなく、意外にもサンダルウッドを強く感じるクリーミーでソフトなウッディムスクでした。スパイスがあるはずなのに、そこは一瞬で通り過ぎてしまい、余韻を楽しむ間もなくウッディムスクへと突入します。いろいろ入っているはずなのにとてもシンプルな香りで、繭に包まれるというイメージにぴったりな、薄いヴェールとなって肌の上で香り続けます。あまり大きなインパクトはありませんし、それほど個性的でもありませんが、安らぎを感じられる香りであることは間違いありません。(27/03/2015)


■Flash Back (2013年)

Olivier Crespによる5つ目の香りは、彼が子どもの頃に食べたルバーブタルトのイメージのようなのですが、ルバーブ自体の認知度が低い日本ではどのように感じられるのでしょうか。

 

 

トップ:グリーンルバーブ、グレープフルーツ、オレンジ
ミドル:ピンクペッパー、グラニースミスアップル
ベース:ベチバー、シダーウッド、アンバー、ムスク

香りは、グリーンフルーティーという少し個性的でありながら楽しい香りとなっています。使いにくい香りなのではなく、Hermesのナイルの庭を彷彿とさせるグリーンフルーティーノートで始まります。ルバーブの香りは個性的ですから好き嫌いが分かれるところなのですが、このルバーブはアニス調の甘さを伴っていてフルーツと柔らかな甘さのスパイスたちがビターなフルーツと重なっているのです。バジルの精油の最後に残る甘さの上に、微かなアップルを重ねているという雰囲気にも感じられるのですが、余計なフローラルノートが全く感じられないシンプルなつくりになっています。軽やかなフルーティーノートを軸としているんでしょうね、きっと。ベースの香りたちはベチバー系の香ばしい合成香料とムスクが感じられるくらいでそれ以外はそれほど強くはありませんから、時間と共にどっしりとしたウッディに変化していくわけではなく、フルーツとウッディが重なって薄れて変えていくというゆっくりとした変化の穏やかな香りです。このイメージフィルムがゆっくりと変化していくおぼろげな記憶・・・みたいなものなのですが、そのゆっくりとした流れがこのピラミッドに合っているようです。(17/04/2013)


■Still Life (2011年)

Frederic Lebainによる写真をDora Arnaudが香りにしたもの。タイトルは静物で、じっとそこにある様子を指しています。画像はミラーボール入りカクテルの周りでくるくると踊る紙たち。これはダンスパーティーで踊る少女のようなイメージのようです。

 

 

トップ:ユズ、エレミ、ピンクペッパー、ブラックペッパー、チャイニーズペッパー(山椒)
ミドル:スターアニス、ガルバナム
ベース:ダークラム、シダーウッド、アンブロックス(アンバーノート)

 

 

香りは驚くほどジューシーなユズで幕開けです。ユズらしさを楽しめる香水は決して多くはありませんが、こちらはしっかりとユズが香ります。でも、ユズは弾けるように香って散り、アニスの甘さが広がります。これはシトラスカクテルの中にアニス酒を入れた感じにも思えますが、全体的な香りの印象がシンプルで、ライト系の合成香料を軸としたコロンの延長線上にあるような香りです(持続の良いシトラス&アニスのコロンですね)。スパイシーな香りたちはユズと共に消えてしまいますし、ウッディノートもアンバーノートも決して前に出てくるような香りではありませんので、初心者に優しい使いやすい1本というところ。香りを手がけたDora Baghricheは2005年にParisのISIPCAを卒業し、3年のトレーニングを積んだFirmenich社の若手女性調香師で、まだ30歳という若さです。(22/06/2012)


■Chambre Noire (2011年)

Clemence Rene-Bazinによる写真をRobertet社Dorothee Piotが香りにしたもので、タイトルの意味はDark Roomで、「ホテルの部屋で何があったの?」というミステリアスな雰囲気を表現しています。

 

 

トップ:ピンクペッパー
ミドル:ジャスミン、パピルス、ヴァイオレット、フランキンセンス、プラム
ベース:サンダルウッド、パチョリ、ムスク、バニラ、レザー

微妙なニュアンスのユニセックスな香りで、全体をまとめているキーノートはスイートパチョリです。甘く柔らかな香りとパチョリが重なり、その中に様々なエッセンスが隠れている、包まれているという香り。サフラン調のレザーノートも見え隠れしていますし、少しフルーティーなヴァイオレットやフランキンセンス、ウッディノートに金属的な部分も隠れています。香りはやがて比較的オーソドックスなアンバーウッディノートとなって消えていくのですが、全体的に重さを感じません。おそらくジャスミンと表記されているのがHedioneをはじめとしたライトなジャスミン調香料たちなのでしょう。スイートパチョリというキーノートは特別斬新な組み合わせではありませんし、パチョリは甘さを足した方が艶やかに香ることは良く知られた手法ですから、それだけ好まれる方の多いオーソドックスな香りと言えます。どっしりとしたオリエンタルは苦手だけど、可愛らしい香りに少し飽きてしまった人たちに良さそうですよね。もちろん男性でもかっこよく香ると思いますよ。(22/06/2012)


■Autoportrait (2011年)

Luc Lapotreによる写真をNathalie Lorsonが香りにしたもの。イメージは自分自身を見つめ、知ること。そこからタイトルは自叙伝となりました。

 

 

トップ:ベルガモット、エレミ
ミドル:シャムベンゾイン、フランキンセンス、ムスク
ベース:オークモス、シダーウッド、ベチバー

香りはとても女性らしい仄かな甘さを持ったテンダーウッディノートです。付けた瞬間だけエレミが印象的に弾けましたが、ミドル以降はアニス調の甘さとオレンジの中の甘さ、少しハニーノートもあるでしょうね・・・そういう甘さがムスクと共に広がり、素肌に馴染んでいきます。香りに自分自身を投影し、素肌、裸体をありのままにさらけ出して見つめなおすということなのでしょうけど、ウッディノートの持続が弱く、ハニームスクが全てな感じです。もう少ししっかりとフランキンセンスやウッディノートが感じられたら香りとしては面白いものになっていたと思うのですが、ウッディノートが残りすぎるとメンズっぽくなってしまいますから、ユニセックスにしていくには抑え気味の方が良かったということなのでしょう。香り全体から受ける印象は入浴剤のような乳白色ですので、上記画像の渦巻く曇り空に通じています。(21/06/2012)

 

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