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Red Collection / レッドコレクション

 

中世ルネサンス期のフェッラーラ后妃(有名なボルジア家の出身)の小説Lucretia BorgiaにインスパイアされたというRed Collection。

 

■Stramonio (2018年)

タイトルは、チョウセンアサガオのこと。ダチュラ同様に、葉や種子にアルカロイド系の成分を含んでおり、薬用植物ではあるけれど、幻覚剤としても用いられることで知られています。悪魔のトランペットなんて異名もあるそうですよ。ルクレツィアはその特性を知っており、誘惑に使用していたそうです。

 

 

トップ:ジャスミン、オーキッド、カーネーション、サフラン
ミドル:アンバーグリス、バニラ、ムスク
ベース:オークモス、パチョリ、エボニーウッド、ムスク

とてもユニークな香りです。まず、フローラルではありません。トップでは湿布のようなフレッシュさが弾け、そこからオゾンっぽい薬品香がサフランと共に香り出すのです。少しインドール系というか、ヨウ素っぽくもありますので、海藻っぽいマリンノートが少し使われているのかもしれませんね。香りはそこからゆっくりとたっぷりのムスクに包まれ、海藻っぽいニュアンスを引きずったウッディムスクとなって落ち着きます。アルカロイド系という薬用植物の香りとしては、とてもミステリアスでステキなのではないでしょうか。(03/07/2018)


■Lucrethia (2016年)

タイトルはボルジア家のルクレツィア(1480-1519)。ローマ教皇アレクサンドル6世と愛人の間に生まれた彼女は、絵画や小説など良く取り上げられるもののその生涯については謎が多い。いろいろ調べてみると、時代に翻弄された感がありますが、性に奔放で権力と金に侵された上流階級特有の生活に浸っていたことが想像できます。ドラマなどに描かれるボルジア家は、近親相姦、奔放な性、傲慢、貪欲、残忍、冷徹なイメージです。

トップ:ペア、ピンクペッパー、ペティグレン、リンデンブロッサム、ローレル
ミドル:ジャスミン、コーヒー、クローヴ、カカオ、アンバー
ベース:シダーウッド、パチョリ、バニラ、ベンゾイン、ハニーサックル

どのような香りであれ、フェミニンだろうと容易に想像がつく香りですが、トップではピンクペッパーが弾け、すぐにフルーティーフローラルへと変化します。可愛らしいフェミニンなフルーティーフローラルだと安堵していると、香りはゆっくりと静かにコーヒーやカカオなどを感じさせるアンバーノートへと変化していきます。随分可愛らしい香りだったはずなのに、肌に残っているのはフローラル感のないオリエンタル。気づいたら支配されていたってこういうことなのかな、と楽しませてくれました。(30/11/2016)


■Cicuta (2016年)

タイトルは、ドクセリ属の意味。ヘムロック(ドクニンジン)やトリカブトも含む毒草の属です。ヘムロックは毒草ですが、微量に調合することで催眠効果を発揮し、人を支配することができるそう。ボルジア家のLucreziaは、それを自由自在に扱っていたことにインスパイアされたもの。

トップ:オレンジ、クレメンタイン、ベルガモット
ミドル:コリアンダー、ローズ
ベース:バニラ、バニラオーキッド、アンバー、バーチ、ムスク、ボリッジ

彼の調香の中では珍しい系統で、トップからシトラスノートが溢れます。少しスイートオレンジ系のシトラスで、そこにバーチリーフのキリッとしたグリーンをアクセントに、ローズと共に加わります。シトラスからローズへと切り替わるのですが、全体に感じるのはアニス調の香りとほの甘いアロマティックな香り。それがあるためにローズの印象が強く出ず、何とも薬草風のローズとなって香り、最後はゼラニウム風のアンバーローズへと変化していきます。(30/11/2016)

 

 

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