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Hilde Soliani

すでにproficeの方でもいくつか香りをご紹介している、イタリアはParmaのHilde Solianiさんからご連絡を頂いたのは夏前だったと思います。しばらくご連絡頂いていたことに気づかずにご返信が遅れてしまったのですが、サンプルを送るから紹介して欲しい、とのこと。もちろん快くお受けしたわけですが、彼女が送ってくれた量が凄かったのです。

Hilde Solianiとしては、最初の5つの香り(Ti Amo)に続いてシリーズ香水がTeatro Olfattivo Parma 08として5種、Profumo e gusto in libertaシリーズとして10種発売となっており、新たに今年Gli invisibiliというシリーズが7種加わりました。とても精力的に新作をリリースしている新進気鋭のイタリアブランドなのです。Luckyscentでも取り扱いをしていますので、個人輸入をされている方でしたらご存知の方も多いことと思いますが、タイトルの付け方やテーマが結構興味深かったりするのです。

彼女が送ったよ、と教えてくれてから2週間、トラブルが発生しました。評判のあまり良くないイタリア郵政を恨むも、イタリア郵政が原因ではありませんでした。そう、FedExです。化粧品に分類される香水は1度に24個までしか個人輸入することが出来ません。ところが、彼女は大幅に商品を送ってくださっていたのです。まさか24個以上送ってくださるとは予想していなかったため、24個の規制をお知らせしていなかった僕も悪かったのですが、結果としては先方に返送するか過剰分を破棄するか、という2択でした。彼女にお詫びしつつもFedExと通関と連絡を取りつつ20個ほど廃棄することでようやく手元に届いたのがこの香りたちなのです。


なんとフルボトルが11本もあるではないですか。廃棄されたのはサンプルだったのですが、サンプルも個数は1個として計算されてしまいますので、個人輸入される方はご注意下さいね。すでにセミナーにご参加の皆さまはオフィスで香られたかと思いますが、以下、簡単ではありますが、ご提供頂いた香りたちのご紹介です。

1、Il Tuo Tulipano

彼女のシグネイチャーフレグランスとも言える最初の香りで、フリージアとジャスミンに甘酸っぱいフルーツを足したようなフレッシュフルーティーフローラルです。50mlボトルではなく100mlサイズとしてリニューアルしました。これを機に価格も訂正され、50mlが110ユーロ、100mlが180ユーロと高価格に。

2、Il Tuo Tulipano Giallo (2012年)

今年の5月にリリースされたばかりの出来たてな新作はイエローチューリップに。もともとのIl Tuo Tulipanoは赤と黄色のチューリップ畑にインスパイアされたものだそうですから、やはり次は黄色となったのですね。香りはローズマリー、ベルガモット、バジルと赤に比べるとハーバルな香りとなりました。

3、Acquiiissssima (2009年)

最上級を意味する語尾を激しく羅列したタイトルですので、ものすごいアクアくらいの意味なのですが、アクアノートだけではなくてジャスミンとグリーンティーを入れて、浜辺のカフェっぽいイメージに。もともとこれは彼女の誕生日に著名なシェフClaudio Sadlerが海の見えるレストランで腕を振るってくれた際の思い出の景色というかイメージのようです。

4、Freschiiissimo (2009年)

グラニータというイタリアではとてもポピュラーなフローズンカクテルというか、スムージーみたいなものをテーマとした香りで、ライム、ブラウンシュガー、ジンジャーの香り。レシピが豊富なので基本となるものがないのですが、フレッシュというタイトルからは想像出来ない甘い甘いブラウンシュガーの香り。いや、でもグルマン系というよりはフレッシュなブラウンシュガーという感じです。

5、Saaliiiissssiimo (2009年)

北イタリアのMeranoで開催されたワインフェスティバルの際に彼女が作った料理を香りにしたもので、香りは塩っぽいタイトルではなくてたっぷりのサフランが軸となっています。サフランにリコリスとなんとお米!! あまりジャスミンライスの香りが強いわけではありませんが、キリッとしたスパイスとレザーのようなサフランが重なり合う個性的でカッコいい香りに。

6、Vecchi Rossetti (2008年)

劇場シリーズの1つで、タイトルは古い口紅。口紅の香りというものがピンと来ない男性は多いかと思いますが、フレデリックマルのリップスティックローズを彷彿とさせるアンバーウッディノートがあります。楽屋の中のイメージのようで、特有のワックス香、タバコっほいレザーノート等も多用しているようです。

7、Mangiami Dopo Teatro (2008年)

劇場の後に友人たちと語り合いながら飲むひと時の香り。それはもう香った瞬間から笑ってしまうくらいに生ハムメロンなのです!! パルマ原産のメロンの香りを再現したそうですが、これだけリアルにメロンっぽさを感じさせてくれる香りで甘くない、可愛らしくないというものが久しぶりです。なんだかとっても楽しそうでお茶目な香り。

8、Prezenze (2012年)

目には見えないものシリーズとして発売された香りの1つでタイトルはなんと幽霊です。香りはベルガモット、ジャスミン、スズラン、パチョリ、ベチバー・・・等などあるようですが、印象はバルサムノートがメインで、ベンゾインを使ったアンバーノートに塩っぽい香りを足したような個性溢れるテイストです。

9、Il Vs Iris

彼女にとってとても大切な花だというアイリスはアイリスらしいパウダリーノートの中にアーモンドを入れたという香りで、パウダリーなリンデンブロッサムというか、パウダリーなクローヴァーのようなイメージとなっています。グリーンなヘリオトロープにアイリスを入れた雰囲気にも似ていて、アイリスそのものではありませんが、変化球として楽しめます。

10、Anemone

ガルバナムがドーンと香るウッディ系ガルバナムフローラルです。最初に香ったイメージはアネモネではなくてフリージアだったのですが、ガルバナムがそれらしく香りだすとなんとも言えない香りに感じるようになります。これ、ガルバナムの奥にチュベローズが潜んでいるんですよ。少しクリーミーなガルバナムって想像できますか?

11、Hortensia

OrtensiaとしてTi Amoシリーズの最後のOを飾る香りはアジサイです。アジサイそのものに香りはありませんが、彼女は少しパウダリーフローラルムスクとして表現しています、藤の花やライラックをムスクで包んだような香りに。

これ以外にもレヴュー用のサンプルをいくつか頂いていますので、後日ゆっくりとレヴューしていく予定です。とても高価で、国内で代理店が出来たとしたらおそらく2万円を超えてしまうであろう商品たちです。それらを惜しげなく11本もご提供下さいましたので、今回もこれらを皆さまにプレゼントしたいと思います。(詳細は最後に)



Imaginary Authors


もう21つはアメリカはPortland発の出来立てほやほやのブランドです。PortlandはSulamber houseをはじめとして、インディーズ系のフレグランスブランドがいくつかあり、近年賑やかになってきた土地です。セレクトショップでも地元のそういった人たちの商品を扱うところが多いようで、手にする機会が多ければ多いほど使う人も増えるわけで、盛り上がりを見せているようなのです。そんな土地から生まれた新たなブランドはImaginary Authors、そう「架空の作家たち」と言うブランド名なのです。

新しい!!

まず感じたのは新しさでした。小説家や作家自身であったり、その作品にインスパイアされて作り出された香水というのは世の中にいくつも存在します。でも、架空というのは聞いたことがありません。オーナーであり調香師でもあるJoshの凄いところは、小説家が架空なだけではなく、架空の小説家が書いた架空の小説まであるのです。その設定の細かさもさることながら、ムエットもこだわっています。下記のような細長い栞になっているムエットの先に「ここにサンプルをプッシュしてね」と書かれた円があるのです。栞のムエットに詳細が記載してあるんですよ。楽しすぎます!!

全ての香りは今後proficeで順次レヴューしていく予定ですが、少しだけその中身を披露していくと、

Falling Into The Sea

Nica Galas(1950 - 2007)が19歳の時に発売した最初の(架空の)小説。それはナポリでの短い恋愛をいくつも記した自叙伝で、男性たちが崖から海に飛び込んで遊んでいる間、彼女と友人がジャスミンを摘んでいるという場面で始まります。ある月明かりの輝く夜、ファーストキスをした彼女。その彼は暗い海に飛び込んだまま二度と浮き上がることはありませんでした。彼女は裸のままで彼の名を叫び続け・・・

この香りは焼け付くナポリの太陽を瓶の中に閉じ込めました。だから、曇り空の日に使うのが良いでしょう。

レモン、ベルガモット、グレープフルーツ、ライチ、トロピカルフラワー、温かい砂


The Cobra & The Canary

James Spundt(1933 - 1969)が書いた(架空の)小説。23歳の主人公Neal Orrisの逃走劇で、家族経営の農園経営が行き詰った親友と一緒に1964年製のコブラロードスターに乗り、カリフォルニアのパームスプリングスを目指して旅行する、というもの。ひなびたモーテル、涼しげなプール、カクテルとバーのタバコの煙・・・

暑い平日に、ちょっと気晴らしをしに車を飛ばして田舎をドライブしてリフレッシュしたい、という時に良いでしょう。

レモン、アイリス、タバコフラワー、レザー、ヘイ(干草)、アスファルト

どうですか? 読んだだけで香りたくなりませんか?
大好きなナポリの香りはとてもジューシーなシトラスフルーツで始まり、パパイアっぽいトロピカルフルーツのカクテルをプールサイドで飲んでいるような、そんな香りです。(少しプールの塩素っぽい雰囲気を感じるのです) そして逃走劇の方は、カッコいいレザーの香りで、最初は男性的に、次第にユニセックスなレザーノートとなって落ち着きます。話の続きを想像しながら使うのも楽しいですし、何よりも広がりのあるテーマというかタイトルに驚かされます。だって、簡単に続編が作れちゃうんですよ!!

続編となるかどうかはわかりませんが、来春には3つの新作の発売を予定しているそうですから、益々これからが楽しみなブランドです。つい先日よりオフィシャルサイトでサンプルの発売が始まりました。サンプルは1つ6ドル、セットは35ドル、フルボトルは60mlの1サイズ85ドルとなっています。レヴューは少し先になりますので、香りながらレヴューを楽しみたいという方は、サンプルをご注文されるとタイミング的にぴったりなのかもしれません♪

(12/10/2012)

 

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