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■The Scent of Excellence

 

 

4日間も通い続けていると、地下鉄も少し見慣れた風景となり、ラッシュも体験し、週末のゆっくりとした電車内も体験することに。最終日には本当に通勤しているような感覚になりました。実は終了後の5日目に、2度も出かけてしまったため、余計にそう感じたのかもしれませんが。

 

 

スペインからのブランドが多く出てきたのも近年の特徴です。彼は会場内で一番シャイだったのではないでしょうか。自己顕示欲が全くない、というかひっそりとものづくりをしているタイプ、職人気質な若者。彼は自身のブランドを2008年に立ち上げ、最初の香水を2013年にリリースしたのですが、それがあまり魅力的なものではなかったため、昨年のPitti Fragranzeでは通り過ぎてしまっていたのです。しかし、彼が昨年リリースしたホワイトコレクションはとても素晴らしかった!! 香りも良いけれど価格も高い。でも、サンプルセットまで手を抜かないデザインなのが彼らしいと言えます。調香師であると同時にデザイナーなのですから。

 

 

近年の若手デザイナーの中で、ファッションブランドでありながら自身のフレグランスラインをニッチ市場に持ってきた、というのがイタリアの彼、Simone Andreoli。フレグランス自体は2011年から発売していて、昨年、今年と新作をリリースしています。90年生まれの彼はまだ26歳という若さ。フレグランスラインはフローラルが少なくメンズのファッションに合わせる香りが多いのですが、これからラインを広げていくようなので、もう少しフェミニンなものも出てくるはず。今後が楽しみなブランドです。

 

 

香水というのは、説明文だけで「香ってみたい」と思わせるコンセプトが重要です。その点で彼らの香りはまだ2作ながら完璧。1つは、ヴェニスに死すを書く2年前の1911年、ドイツ人作家のトーマスマンがヴェネツィアで休暇を過ごしていた時に見つけた、上流階級のポーランド人美少年に心を奪われ物語が生まれました。その美少年をタイトルとした香り。もう1つは、フランシスベーコンというアーティストと、若き恋人だったジョージダイアーというゲイカップルをテーマとした香りで、2人はアトリエに暮らしていたナルシストということでナルシスがテーマに。Etat Libre d'Orangeのように少し過激というか、タブーを取り上げて楽しませるブランドらしく、会場で様々なジャーナリストの口から「注目したいブランド」として名前が挙がっていました。

 

 

2年ほど前からスタートしたイタリアブランドDiadema Exclusifの皆さん。右の男性が全てを手掛けている調香師Pier Luigi Salviさん。次に出かける街、シチリアのカターニアについて熱く説明してくれた紳士です。

 

 

10年前、Pierre Bourdonが香りを手掛けたことで注目されたInstitut Tres Bienが、実に10年ぶりに3種のフローラルラインをリリースしました。チュベローズ、ヴァイオレット、ローズの3種はどれもシングルでありながら美しく、特にローズはかなりグリーンの強い夏向きな香りに。

 

 

全てのブランドを訪れたわけではありませんが、話をしてみてそれだけで終わったブランドも少なくありません。こちらもその1つ。16種もの商品でデビューしたドバイのブランド、Blend Oud。彼らの香りを香ってみて驚いたのは、どれ一つとしてウードを感じなかったこと。理由を聞くと、ウードはブランドネームなだけだよ、と。それはどうなの? 買う側も期待して入るんじゃないの? ちょっとそれはコンセプトとして販促というか残念だ、という理由で少し試しただけで終了だったのでした。

 

 

可愛らしい女性がおそらくあまり詳しくない男性とペアとなってブースにいる、というのがいくつかあったのですが、こちらもその1つ。ブランド名はSimimi。創設者であるMireia Navarroの愛称というか、可愛らしいMimiという意味合いなのだそう。だから香りも可愛らしいフローラルブーケが多く、ボトルキャップにもブーケがあしらわれています。濃度はパルファムで100ml。これは最近の流行だなぁ・・・と思っていたら、調香はTiziana TerenziのPaoloとのこと。納得です。濃度違いの商品もありますが、調香も違っているので別物という8種でスタートです。

 

 

Simimi同様にカップルでブースにいたブランド、Making Of Cannes。こちらは奥様と旦那様で、旦那様は全くブランドのことを知らず、奥様のアシスタントをしようと必死になっている様子が可愛らしくて笑ってしまいました。カンヌ発ということで、高級市場へ名乗りを上げたのは2年ほど前のこと。6種目の新作を売れっ子のCecile Zarokian Parfumeurが手がけました。彼女も会場に来ており、お会いするのも3度目。手がけた香水がとにかく会場内に多くあるため、彼女はいつも多忙です。

 

 

スペインから参加した新たなブランド、27 87 perfumes。これは右側の彼女Romy Kowalewskiの誕生日が由来。87年生まれなんですね。会場にて初めて知ったブランドだったのですが、若い世代に向けた勢いのある商品3種でデビューです。

 

 

なんと旦那様は日本生まれだというミュンヘン発の新しいパフューマリーです。Leng lingさんは一言で言うとエレガント。颯爽とした雰囲気、商品、特にパッケージデザインなどへのこだわりは人一倍という感じでした。ラグジュアリーなものがお好きなんでしょうね。香水をテーマに作ったというチョコレートを頂いてしまいました。美味しかったです!!

 

 

こちらはとてもキュートな笑顔の女性、Ane Ayoさん。フランスのDrom社に所属するジュニアパフューマーなんですよ。彼女が最近手掛けたのは、Chanel No.5が生まれた背景にあったRallet No.1という香水を発売していた老舗パフューマリー、Ralletの最新作。Rallet自体、数年前に復活を遂げたのですが、何せ販路が狭く、なかなか広がりをみせていないのが現状。どうしても香りたかった復刻品たちを香ることが出来ました。全てが彼女の調香ではありませんが、最新作はなんと貞奴(さだやっこ)がタイトルに!!

 

 

Room 1015のMichael Partoucheと共に、やんちゃな少年が大人になった、というのがStephane Humbert Lucas。会場内で一番古い友人なのではないかと思うのですが、あっという間に10年が経ってしまいました。ということは、Nez A Nezも10周年だよね・・・と今の状況を聞いたら、休止中とのこと。来年復活するそうです。彼のフレグランスラインは3種ありますが、Stephane Humbert Lucasは自分の好きなように作っている自分自身のようなブランド。SoOudは中東市場向けのライン、Nez A Nezは自身のアトリエのイメージで作ったブランドで、コントロールしているのは奥様だそう。SoOudも奥様とIntertrade Europe社がコントロールしているため、彼は自身のブランドに注力しているわけです。最新作はタクラマカン砂漠をテーマとした彼らしいオリエンタルな香りでした。

 

 

中東市場の参加は一昨年くらいから急激に増えたのですが、The GATE PARISは今年が初参加。オーナーの彼とも初対面。中東ブランドの中では価格帯も高すぎず、サイズ展開も細かく良心的なスタイルで、全てのものはゲートから始まるというコンセプトもしっかりとしていて好感が持てました。結構、注目していたジャーナリストも多かったはずです。Montaleに少し飽きたと言う方におススメ。ウードが主体ではないというか、ウードに頼らない姿勢がステキなのです。

 

 

中東ブランドの中で、ヴェールに包まれていたのがこちらのブランド。中東はカタール発でブランド名はS-ISHIRA。でも、ブースの中の女性たちは写真を断る厳格なイスラムで、しかもサンプルすら用意がない。これでは覚えてもらえないよ、とムエットで一通り香っただけで後にしてしまいました。他にもまだ中東ブランドを回り、サンプルやボトルを頂戴していますので、そちらをご紹介していきたいと思います。

 

 

試してみたかったブランドがこちら、Orynico。イタリアブランドです。調香を手掛けたのがAFMの人たちで、Luca Maffeiもいくつか手掛けているそう。彼らの評価はうなぎのぼりですから、試さないわけにはいかない、と。

 

 

イタリアなのか中東なのか判断が付かなかったのがこちらのブランドMoresque。昨年デビューしたばかりですが、スタイルは完全な中東でありながら、製造も販売も全てがイタリアというイタリアブランドなのです。とにかくゴージャスという一言に尽きるボトルとデザインで、ため息の出る商品たちでした。もちろん高価格です。

 

 

300社が一同に会する展示会ですから、4日間かけても全てを見て回ることはできません。ですから、皆さん優先順位を付けて効率良くチェックをしていくわけですが、そこで大切なのは情報交換。「どこが面白かった? 何がユニークだった?」という言葉が合言葉のように交わされ、まだ見ぬブランドたちへの期待が高まっていくわけです。こうした情報交換をしていると各国のジャーナリストがどのブランド、商品に注目しているかがわかるわけです。

ここ数年、イタリアに行けばお世話になっているRobertoと彼の友人と、すっかり仲良くなったHenrikと4人でランチを。イタリア、スウェーデン、ブラジルそして日本と四ヶ国会議のようなランチでした。

 

 

Pitti Fragranzeの場合はランチブッフェが使えるのですが、Esxenceは大きすぎて施設がありません。カフェコーナーの軽食で済ませる方も多いのですが、僕らは毎日レストランに出かけました。平日はランチプレートがあるのですが、それが毎日このボリューム!! 女性でもペロリと平らげるこのプレート、パンとお水もついて10ユーロ程度なんですよ。

 

 

そう言えば、毎回顔を合わせていながら、Fragranticaのエディーターチームと写真を撮ったことはありませんでした。一番仲良くしているセルゲイがこの時席をはずしていたため、Elena Knezevicさん、Zoran Knezevicさん(The Vagabond Princeのオーナーご夫妻)、そしてHenrikと記念に一枚。Fragranticaのエディターチームは、毎回各国から終結しており、その数10名ほど。同じホテルに宿泊し、毎晩情報交換している様子はまるでオフ会旅行。日本語バージョンの担当を・・・とあっちこっちから声がかかり、彼らからも合う度に声をかけられるのですが、膨大な時間がかかるんですよ、今からだと・・・。Fragranticaチームは、手分けしてインタヴューと新商品チェックを行っていますので、会場内を網羅しているのがポイントです。でも、海外にはそれを1人で行うツワモノも登場しています。それはPersefumeというサイトを運営しているJakub Piotrovicz。彼とも今回が初対面だったのですが、情熱に動かされている人たちは、本当にステキだなぁ・・・とつくづく感じた展示会でした。

これから、150種を超えるサンプルやボトルを精一杯レヴューしていきますので、魅力的な作り手の情熱にどうぞお付き合いくださいませ。

(27/04/2016)

 

 

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