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■The Scent of Excellence

 

 

展示会が開催された3/23〜26あたりは、三寒四温の寒の戻りの頃。雨の多い季節でもあり、朝夕はコートが必要な寒さです。でも、マグノリアや八重桜はあっちこっちで咲き、街を彩っていましたよ。藤の花も見かけたのですが、コートが必要な寒さの中で開花するなんて日本では考えられないことですよね。

 

 

すでにレヴューをアップしましたが、Nishaneは今回、トルコの伝統的な影絵劇をテーマとした3つの香りを公開しました。まだ、トルコ発のトルコをテーマにしたブランドは多くないので、そうしたトルコらしい、今までにないテーマ、切り口のものが登場してくるわけです。楽しいですよね〜。画像にはMuratさんがいませんが、代わりに調香を担当したJorge Lee氏(左)と一緒に撮影を。彼は初日からいたはずなのに、どうしてもお会いすることが出来なくて、常に行方不明だったと伝えたら、なんと体調を崩して病院に行っていたのだそう。肌にも発疹が出ていて、内臓系疾患だったのかな。でも、もう大丈夫とのことで安心しました。

 

 

こちらは、この展示会でお披露目となったMaison Thibaud Bourahlaというブランド。David Thibaud-Bourahlaが創設したブランドで、こちらも天然香料のみで作られています。その香料のほとんどがアフリカ産で、テーマはもちろんアフリカ。豪華なクリスタルボトルに詰められた最初の香りは、来賓への贈答として贈られたりもするそう。上にボタンがあって、ライトも付くんですよ。(画像右)

 

 

今まで、彼女のブースは常に忙しくてなかなか話が出来なかったのですが、今回初対面となりました。Parfums DusitaのPissara Umavijaniさんはフランス在住のタイ人。顔中で笑うとてもチャーミングな方で、人懐っこい感じが微笑みの国タイらしいなぁ、なんて。国際色豊かなスタッフが彼女のブースを盛り立てていたのですが、何よりもステキだったのはこの装飾です。このラナンキュラスは生花なんですよ。全てが後ろの試験管に繋がっていて、薄いピンクと濃いピンクのラナンキュラスが明るく、フェミニンに映えていました。

 

 

商品についての説明は、パンフレットやウェブを読めばわかること。僕が展示会で大切にしているのはその人となりを知ることです。だから雑談を多くするのですが、彼女とは、この生花の中に1つだけフェイクがあったらどうする? それを見つけた人にはボトルプレゼントなんてどう? みたいな話をしたりして。この中に造花を1つだけ潜りこませたいと思ったのは僕だけ?

 

 

スペインのSanti Burgasからは、Palindrome IとPalindrome IIという2つの香りが公開されました。今までの香りの多くは同じスペインの香料会社のChristian Carbonnelが手がけた香りだったのですが、今回は彼ではなくGivaudan社のRodrigo Flres-Roux氏が担当に。

 

 

今回の2つの香りは、電球がモチーフとなっていて、黒いボトルの中に灯りを入れたのだそう。中が発光する、内側から光る。タイトルのPalindromeは回文の意味ですが、それは子どもの頃の言葉遊びをヒントにしたものだからだそう。この次の香りもRodrigo Flres-Roux氏が担当するそうですよ。

 

 

J.F. Schwarzloseでは、2年前にリリースされたAltruistがEdPとなって通常ラインに組み込まれました。ゆっくりと商品作りをしている彼らには、1つ1つの香りが大切な子ども。1つ1つを丁寧に、日本からの顧客に説明してくれました。

 

 

日本にも上陸しているAngela Ciampagnaでは、新作はなかったのですが、昨年サンプルが間に合わなかった2つの香りのサンプルを頂きました。こちらのブースでユニークだったのはテスターのスタイルです。壁にこうした容器がたくさん配置されており、その中に液体が入っているんですよ。そこにムエットを浸して香る、というもの。スプレーでは拡散してしまう香りたちをダイレクトにゆっくりと香れるという斬新なスタイル。しかも、付けやすい。Angela Ciampagnaさんは日本の桜の香りが気になっていた様子で、典型的なアコードを後日教えました。日本向けの桜の商品が作られる日が来るかも?

 

 

予想していなかった出会いはAqabaでした。オーナーのMiriam Miraniさんがいらしていたのです。あれ? 今まで来たことあった? なんて不思議だったのですが、10年前のCosmoprofの頃から僕は商品を見ていたし、すでに昔のボトルを持っていてレヴューもしているんだよ、と伝えたら、10年前のあの展示会のことを覚えていてくれたなんて・・・と喜ばれ、最新作のOud Black Manをハンドデキャント(その場での小分け)してくださいました。後日、レヴューしたいと思います。

 

 

Au Pays de la Fleur d’Orangerでは、Eau de Virginieという香りが公開に。こちらはオーナーである彼女、Virginie Rouxさんの名前を付けた香りで、ミモザとチュベローズを軸としたホワイトフローラルブーケとなっていました。彼女も日本からの来場者に、1つ1つ丁寧に解説をしてくれましたよ。

 

 

毎回中東からのブランドがいくつか参加しているのですが、その中で今回ユニークだと思ったのはこちら、Anfasでした。2014年に6つの香りでデビューしたブランドから今年は新たにボトルを替えて6種が加わったのです。このブースでカルダモンコーヒーを頂きながら香りを試したのですが、それぞれが「うちにおいでよ」というテーマでまとめられた香りだったのです。アラブのおもてなし、交流、そして愛情表現を組み込んだ6種は、外で出会い、家に呼ばれるまでの香り、そして家の中では最初の部屋、リヴィングルーム、そしてもっと奥へ・・・その部屋の香りとは? だってみんなアラブの家に来たことないでしょ? ってそうか、そういう切り口もあったのか、とわくわくしました。6種の中でウードを使用した香りはわずかに1つだったのも好印象でした。

 

 

Atelier des Orsでは、ハロッズの限定品として今月発売となるMusc Immortelが公開に。でもメインは昨年の秋のPittiで公開され、ようやく発売となったIris Fauveに焦点が当てられていました。商品の展示もとても綺麗でしたよ。オーナーのJean-Philippe Clermont氏に話を聞こうとするも、常にブースは賑わい、彼は予約された接客でいっぱいいっぱい。疲れてない? 大丈夫? なんて声をかけた最終日、一緒に写真を撮ろうよ、なんて言われて撮影したりも。

 

 

初めてFilippo Sorcinelliと展示会で会ったその時から、会う度に写真を撮り、新作を楽しみにしているUNUM。Filippoとは今回も記念撮影をしましたが、今回は別の角度から。彼は英語が得意ではありません。そのため、彼のスタッフが全ての香りを説明してくれます。彼自身はファンと写真撮影をしたり、プレスの対応をしたりとその他の作業に徹しているのですが、それが見事なチームワーク。黒いフィルムで作られたオブジェのあるブースでは、コンバットスタイルだと笑うスタッフたちが、ポケットのたくさんついたエプロンを着用し、それぞれのポケットから彼の香水を手榴弾のように取り出して解説してくれます。彼の最新作は、これまたとてもユニークなテーマで長いタイトル、Io Non Ho Mani Che Mi Accarezzino il Voltoと名付けられました。こちらも後日レヴュー予定です。

 

 

昨年の秋の展示会で初対面だったYvra 1958は、オーナーのYvraさんとスタッフの2名体制。お名前を伺っていないのですが、スタッフは僕のことを覚えていてくれて、会場で会う度に挨拶をしてくれました。彼らも2つ目の香りを予定通りにリリースしたわけですが、実は秋の展示会でプロトタイプを頂いていたのです。処方は変わった? とお聞きしたら、少しだけ変わったけど、ほとんど一緒だよ、とのこと。まだサンプルの用意はなかったのですが、手元には秋に頂いた15mlがありますので、後日レヴューしたいと思います。このブランドで今回ユニークだったのは、車の洗浄液に香りを入れたという商品を展示していたこと。だって香りがしたらステキでしょ? ってその発想は日本には、ない。

 

 

Houbigantブースは、オーナーであるPerrisさんのブランドPerris Monte Carloも一緒に。HoubigantとしてはすでにレヴューをアップしたQuelques Fleurs Jardin Secretが初公開に。そしてPerris Monte Carloの次の新作がTuberose AbsoluとCacao Aztequeであることが公開され、プロトタイプの本当に作りたてのテスターから香りを試すことが出来ました。もちろん豪華なチュベローズと、香ばしいけどグルマンではないカカオが広がります。こちらのブースでは、とにかくAbsolue d'Osmantheがステキで、Extrait de Parfumがありましたので、そちらを肌に乗せてオスマンサスアブソリュートの豪華さを楽しみました。展示会の日は、その日どの香りを肌に乗せるか、一日どの香りで過ごすか、決めるのも楽しみの1つなのです。

 

 

7つの香りでデビューしたLeng Lingさんは、8つ目の香りを公開に。食前酒をテーマとした新作で、こちらも後日レヴューをアップする予定です。彼女の溌剌とした魅力が来場者を惹きつけ、最終日にはサンプルもほとんどなくなってしまいました。日本からの来場者たちもそれぞれ好きな香りのサンプルを頂きましたよ。

 

 

最初にお会いした際は、まだ入社してすぐだったEtat Libre d'OrangerのThomas君。印象的な巻きひげの彼ももう立派なブランドの顔に。今回はYou or Someone Like Youというフレッシュな新作を公開。でも次はアイリスがテーマの香りだよ、なんて。

 

 

今年初出展だったのは、Maison de Parfum Berryというフランスはノンルマンディー地方のブランド。3つのテーマで作られた全13種のコレクションでデビューとなりました。ブランドのロゴはBerryのBと13種の13の数字がミックスされているんですよね。次回はどうして13にこだわるのか、お聞きしてみないと!!

 

 

Homoelegansのお二人が今年公開したのは、とても有名なメキシコ人画家Frida KahloをテーマとしたPaloma y Raicesという香りでした。彼女が中性的だから・・・とフェミニンな部分を抑えたそうで、全てをオリエンタルなアンバーノートとコーヒーが包み込んでいました。肌の上ではチュベローズが香るのかどうか試してみないと!! そう、コーヒーもチュベローズもメキシコ産のものが有名ですよね。

 

 

プロデューサーとして、大忙しの彼Philippe Constantin氏は今年Maison Incensの新作としてSantal TislitとChypre Isliを公開しました。サンダルウッドとシプレがテーマですが、このシプレがとても美しくてステキで、こういうクラシカルな香りが新作として登場することに喜びを感じずにはいられません。公開と共に一度封印され、今年に入って正式に発売となった3種のExtrait de Parfumと合わせて後日レヴューしたいと思います。

 

 

新作はなかったけれど、Extrait d'AtelierのChiara Ronzaniさんとも撮影を。常に接客で忙しかった彼女、接客中でも僕を見つけると必ずアイコンタクトしてくれます。にしても、顔小さすぎるでしょ。僕がでかすぎるでしょ!!!

 

 

溌剌とした笑顔がステキな、健康的美人と言えばOlfactive StudioのCeline。今回はBertrand Duchaufour氏によるWoody Moodを公開に。まだサンプルの用意はなかったのですが、秋には用意できるはず。日本人たちの香りの感覚が自分の思っていたものと違うことに驚いていましたが、それはそうでしょう。こうしたフレグランスが好きな人たちは皆さんと好みが違います。軽くて明るい、ユニセックスなものよりも、少しオリエンタルだったり、個性的なものを好むのですから。

 

 

まだオフィシャルサイトが完成していないのはSimimi。事前に新作を公開するという話はなかったのですが、Marguerite GachetとVincent Van Goghの恋物語をFolie de Margueriteというタイトルで公開に。こちらも全ての調香を担当したPaolo Terenziによるもの。香りは基本的にフェミニンなホワイトフローラルで、軸はチュベローズやジャスミン、マグノリア。その中にウードやサフラン、パチョリなどのオリエンタルウッディをアクセントとしたものとなっていました。サンプルは間に合わず、テスターのみの公開に。

 

 

なんと今回は11種もの新作を公開したTiziana Terenzi。画像中央にいるのは彼らの息子さんですが、この他にもPaoloとちゃんと写真を撮影しています。いつも楽しい彼らのブースは、Paoloと奥さん(Tizianaさん)と息子さんを中心に、数名のスタッフで切り盛りしています。今回もまたフルボトルを頂いてしまいましたので、後日その他のサンプルたちと一緒にプレゼント企画しますね。

 

 

展示会というのは、出展者たちとの交流だけではなく、各国から訪れるジャーナリストたち、調香師の皆さまとの交流の場でもあります。彼はイタリアで活躍しているErmano Picco。La gardenia nell'occhielloというブログを書いているのですが、珍しくイタリア語と英語というダブルですのでご興味のある方は是非。彼はヴィンテージコレクターで、ヴィンテージを用いてセミナーを開催しているので共通の話題も多いのです。

 

 

展示会だけでなく、一昨年はヴェネツィアを案内してくれたRobertoは、今回出展者側で参加していました。そう、彼が勤めるのはコスメ会社。そこで彼が手がけた香りたちがデビューとなったのです。ブランド名はDFG 1924で、彼の住む町トレヴィーゾの古いブランドが親族の手により復活したのです。その全ての調香を担当したのが友人である彼だったのです。ロベルト、デビューおめでとう!!

 

 

どの香りが良かった? というのはジャーナリスト同士の挨拶のようなものであり、同時に情報交換ようなものでもあります。その合言葉を交わす友人がFragranticaのロシアを束ねている人たちの1人であるSergey氏。彼にParfume Sucksって香った? なんでSucksにしたか知ってる? 卑猥じゃない意味があるのかなー・・・なんて雑談をした上で、ならば一緒に行こうということに。

 

 

展示会は関係者のみの2日間、一般開放の2日間の計4日間開催されます。でも、最終日の午後にはもう撤去を始めるブースもあり、3日半という感じです。その中でいかに効率的に回るのか、というのは事前の参加社チェックが必須です。今回画像になかったブランドもたくさんありますし、その中で話をお聞きしたブランドも数多くあります。これから夏まで、それらのブランドをどんどんとレヴューして紹介していかないと、ですね。もたもたしていると次の展示会が始まってしまうのですから。

会場を後にする際の合言葉は、次は9月にPittiで!! でした。

(12/04/2017)

 

 

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