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Sampleレヴュー (Scent Stories : Volume 1)



■Dune Road (2014年)

真夏に、軽やかな潮風を感じながら歩く砂の上。遠くから微かに香ってくるハーブや浜辺の植物たち。

 

 

海草、グリーンノート、ベチバー、ドリフトウッド(流木)、ソルトノート、エアー、ムスク

マリンノートが主体のサマーフレグランスというカテゴリのものだと想像していたら、予想以上にハーブが強くて驚きました。基本的にはあまりマリンノートを強く使用せずに涼しげな海風を表現したという香りで、トップではミントに近いグリーンノート(ミントの精油ではなく、含有成分の1つを単独で使用しているようです)が涼しげに香るのですが、この成分がミントに少しグリーンティーを混ぜたような香りですので、アロマテッィクな雰囲気にも感じられるのです。ベチバーも香っていますが、こちらの精油そのものではなくベチバー系の合成香料を使用することで明るく爽やかな香りとなっており、フレッシュなトップやミドルを邪魔しない香りとなっています。微かな塩っぽい感じもありますから、海辺ではとてもフィットする香りなのではないでしょうか。(11/12/2014)


■Long Board (2014年)

暖かな陽射しが肌を焼く季節。海鳥は歌い、海風がそよぐ。物語を話し終え、友人と共に笑う・・・そんな海辺の風景。

 

 

オレンジブロッサム、ソルティーマリンノート、ココナッツ、日焼けクリーム、ベチバー、バニラ、アンバー

海辺がテーマであっても、サンオイルが加わると全く別のニュアンスになります。ココナッツがグッと香るトロピカルな香りになっているわけではないのですが、ココナッツ調の甘さは感じられ、オレンジブロッサムを少しクリーミーにしたニュアンスで香っています。マリンノートもあるのですが、キーノートになっているわけではなく、飽くまでも主題はオレンジブロッサムとココナッツで、時間と共に少しアンバーノートが感じられるようになってオリエンタルウッディな余韻を残して消えていきます。笑い声というのがとても良く似合いそうな明るさをもった香りですね。(11/12/2014)


■The Botanist (2014年)

植物を育てる才能のある人のことを緑の手(グリーンサム)と言います。逆になんでも枯らしてしまう人はブラウンサムと言うのですが、このタイトルはグリーンサムの自然の歴史家がテーマ。毎日、埃や花弁、根に接している人。だから香りはフルーツとフローラルと大地の香りで表現。

 

 

アップル、ベルガモット、グレープフルーツ、ピオニー、ローズ、スズラン、サイプレス、ベチバー、ムスク、アンバーグリス

やはり個性的なラインの中にもフローラルはないとバラスが悪いよね、ということでしょうか。とても瑞々しい少しグリーン調のフローラルノートが広がります。トップではアップルも印象的に香りますが、可愛らしいフルーティーフローラルになっているのではなく、ミントやハーブの入ったハーブサラダにフローラルを重ねたような印象で、清々しく、明るく香りを放ちます。グリーンノートにミントがあることがポイントで、とてもユニセックスなフローラルとしてまとめられています。メインビジュアルも男性ですしね。フローラルノートとしては特別なキーノートはなく、全てのフローラルノートが一体化してグリーンノートに包まれて香っており、ベースノートも強く主張するほどではありません。(10/12/2014)


■Shaman (2014年)

シャーマンは神秘的なタイムトラベラーであり、千里眼をもち、神聖な人たちである、と。画像の中のイメージは仙人風というか、宗教的な感じですよね。

 

 

スモーキーパチョリ、ヴァイオレットリーフ、フランキンセンス

パチョリとヴァイオレットリーフというこれまた珍しい組み合わせに挑戦したなぁ・・・というのが第一印象です。確かにたっぷりのパチョリの中にキュウリっぽいグリーンノートが香るのです。強さで言えパチョリの方が強いため、グリーンフレグランスになっているわけではなくアクセントなのですが、とても個性的で面白い香りです。このパチョリの中には少し甘さもありますし、微かにアニマリックなニュアンスも隠れています。それはシベットでもなく、カストリウムでもないので、ムスクがアニマリックなタイプのニュアンスのものを使用しているのかもしれません。(もちろん合成のアニマルムスクです)
ミドル以降は少しパウダリーさが目立ち始め、ヴァイオレットリーフが消え、スイートオリエンタルとなり、やがてはフランキンセンスにスライドした形となって落ち着きます。時間の経過で香りもきちんと変わりますし、組み合わせも斬新で面白い香りだと思います。(10/12/2014)


■Momento (2014年)

記憶の中の遺産。古い写真やラヴレター、子どもの頃に訪れた家族の場所、それは今はなき大切な宝物。これは、時間を超えた愛と幸せの香り。

 

 

ベルガモット、レモン、アルデヒド、タラゴン、アブサン、ラベンダー、カーネーション、ローズ、ジャスミン、ヴァーベナ、ガイヤックウッド、オポポナックス、パチョリ

ラベンダーやハーブにアルデヒドを加えるなんて個性的!! とわくわくして香ったのですが、それとわかるほどアルデヒドは強くはなく、シトラスノートをピリッと明るくしている程度です。それよりもニュアンスとして感じるのは調香にはないチョコレートで、シトラスとハーブの隙間からチョコレートが甘くこぼれてくるのです。系統で言うならばスイートアロマテッィクフローラルといったところでしょうか。チョコレートのニュアンスはトップで薄れ、香りは次第にスパイシーなシトラスバニラ感が強まるのですが、ヴァーベナの中のレモン香(シトラール)はとても持続が良く、ミドルでもしっかりと香っています。ラベンダーもトップで香り消えていきますので、メンズに偏ることなくユニセックスで楽しめる香りですよ。(09/12/2014)


■Barrel (2014年)

お酒をがぶ飲みするという意味合いもあるようですが、お酒を含めた液体の単位です。もちろんワインを含めたお酒をテーマとしたもので、樽に寝かせているその貯蔵庫をイメージしたもの。埃やタンニン、オークの樽、スパイス、スピリットなどお酒にまつわる芳香成分を表現したようです。

 

 

アブサン、コリアンダー、ピンクペッパー、ラム、ミルラ、オレンジブロッサム、チュベローズ、オーク、オークモス、レザー、バニラ、パチョリ、ベチバー

スパイスが樹脂に包まれ、面白いアクセントとなって香るオリエンタルな香りです。とても複雑で凝った香りとなっているのですが、全体が1つに溶け合っていることで1つ1つの香りは際立つことがありません。パチョリやベチバーにオークの木の香り、そして微かなアクセントとなっているチュベローズ。それらがナツメグっぽいスパイスに重なっている雰囲気です。バニラの甘さ、ミルラのフルーティーでくすんだ感じもスパイスに混じって感じられ、最後はオリエンタルとなって薄れていきます。実に画像のイメージにぴったりな暗がりを彷彿とさせる香りで、タバコやレザーに合いそうなオリエンタル香が長続きします。(09/12/2014)


■Magic Circus (2014年)

世紀の変わる時、カーニバルは夕暮れを旅する。移動式遊園地というのもとてもアメリカ的なものだと思うのですが、賑やかな雰囲気をグルマンな香りとして表現したようです。画像を見ると少しメランコリーな感じもしますが。

 

 

キャンディーナッツ、コットンキャンディー、カラメル、ピンクペッパー、ベルガモット、ラブダナム、ゼラニウム、パチョリ、ウッドチップ

どれほどグルマンなのか、というのがポイントだと思うのですが、やはりそこは個性的な香りを目指しただけあって変化球です。言うなれば、あまり美味しくないグルマン風で、美味しいはずのグルマン系の香りにピンクペッパーとゼラニウムが重ねているのです。そのアロマティックな部分とスパイシーさがトップで香り、次第にグルマンの雰囲気を引きずったまま落ち葉のようなオリエンタルウッディへと変化していくのです。やはりイメージとしては明るく華やかで賑やかなサーカスではなく、どことなく暗い部分を感じさせるサーカスですよね。可愛らしい動物を使ったサーカスではなく、イメージ的にはダレンシャン。(08/12/2014)


■Old School Bench (2014年)

若い画家が描いた銅版画がテーマ。昔はこういうものがあったのだと視覚的に訴えて共感を呼んでいるわけですが、やはりそこはアメリカ。日本のものとは違いますよね。でも、日本と共通している鉛筆削り、鉛筆の芯、黒板、古い机などをイメージした香りようです。

 

 

ベルガモット、アンジェリカルート、ウッドワックス、ゼラニウム、ラム、チョコレート、シダーウッド、バニラ、パチョリ、ベチバー

あぁ、なるほどね・・・と思える香り。少しオイリーにも感じる鉛筆の芯を含んだウッディノートがトップで香り、スイートウッディ系でまとめられています。少しスモーキーで土っぽく、チョコレートはくすんだ感じを表現する良きスパイスとなっているようです。比較的シンプルで軽やかな香りなのですが、全体としてのイメージはやはり少し暗めで、時間と共にオリエンタルウッディへと変化して落ち着きます。床に塗られたワックスの感じがオイリーな部分に感じられて、やはりどことなく懐かしさを覚えてしまいました。派手さはなく、とても心を穏やかにさせる郷愁を誘う香りです。(08/12/2014)


■Dahab (2014年)

歳月と言う意味のアラビア語のタイトル。砂漠では海と星出会い、遠くでウードが焚かれ、温かなスパイシーノートが風に運ばれ、水タバコの香りと交じり合う。そして若い男性が星の瞬く砂漠の夜をドライブする。

 

 

ソルティアクアノート、ウード、フランキンセンス、ドライウッディノート、サフラン、ペッパー、クミン、ナツメグ

このダハブという言葉は歳月という意味だけではなく、実際にあるエジプト東部のリゾート地で、有名なダイビングスポットだそうで、メインビジュアルにもダイバーが映っています。ソルティなアクアノートがあるということでアクアティックな香りになっているのかと思っていたら、香りはとてもオリエンタルなタバコ風スモーキースパイシーな香りでした。ウードらしいウード香が主体となっているわけではないのですが、ウード風の香りの中にスパイスとアンバーウッディノートが重なっている様子です。ユニセックスな香りではありますが、どちらかというとメンズ寄りに感じるにはやはりスモーキーな部分がきちんと感じられるからかもしれません。中東と言えばウード、そういう香水が多々ありますが、こちらはノンフローラルでまとめられたとてもクールな香りです。(05/12/2014)


■Moon Dust (2014年)

月の香りってどんな香り? それは砂漠に雨が降った後に火薬が燃えた香りだよ。

 

 

火花、オゾン、タバコ、ベンゾイン、ブラックムスク

プッシュした瞬間に弾けたのはスパイスとアイリスです。パウダリーノートを甘くせず、ミネラルっぽい固いスパイシーノートと合わせたニュアンスで、ガンパウダーってこうやって表現するのか・・・と楽しくなりました。オゾンノートは強すぎることなくアイリスに隠され、ベンゾインの甘さのみでシンプルに香り続けるのですが、タバコを感じさせるニュアンスの香りも強く、それが少しスモーキーに香っているのが特徴です。また、ラストノートは少しアイリスの残り香を含んだスモーキーなアンバーウッディノートとムスクとなって消えていくのですが、この残り香は(おそらくTimberolとCostausolという香料で)、Annick Goutalのmon Parfum Cheriのラストノートにも通じるものがあります。これだけたくさんの香水を日々香っていても、斬新な組み合わせというのがあるもので、他にはないテイストで楽しませてくれます。(05/12/2014)


■Onsen (2014年)

日本人にとってどうしても気になるタイトルがこちらだと思います。そのものずばりで温泉。彼女は祖母が日本の方だそうで、祖母から日本についていろいろ聞いたり、温泉にも親しんでいたとのこと。温泉は不思議なもので、、パワフルで、スピリチュアルで、身体を磨き、癒し、自分を見つめる場だと。

 

 

ニガヨモギ、ベルガモット、ヒノキ、パインニードル、サイプレス、ベチバー、オークモス、アンバーグリス、ミネラルノート、硫黄、スチームノート

香りはとてもアロマティックで、トップではベルガモットがフレッシュに弾けて爽快に始まります。日本と言えば、というヒノキはほとんどわからず、日本人のイメージしているヒノキ風呂のニュアンスは感じられません。パイニードルやサイプレスといったアロマティックノートを少しハニーノートを入れることでスイートアロマティックとしてまとめているのですが、どことなくリニューアル前のインウイを彷彿とさせる香りになっています。こちらの方がよりシンプルでより明るいので香り自体は別物ですが、ハーブにハニーを足していくというのが同じで、ラストノートは少し香ばしいアンバーウッディ調の香りが残ります。硫黄の香りやスチームっぽい雰囲気はありませんので、温泉そのものを表現したものでなく、温泉で寛ぐリラックスした雰囲気にぴったりな香りですよ。(04/12/2014)

 

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